新日本の東芝監査をなぜ見逃していたのか
2015年08月21日
東芝の〝粉飾決算〟を新日本有限責任監査法人が長年の監査で「適正」とみなしてきた問題で、金融庁が過去に新日本に検査に入り、新日本の東芝の監査を適正と〝お墨付き〟を与えていたことがわかった。金融庁は新日本と共犯関係にあるといえる。東芝の第三者委員会報告書が、監査を受け持ってきた新日本に甘い判定を下しているのは、このためではないのか――。
新日本有限責任監査法人が7月22日、数百人いる幹部社員(パートナー)むけに開いた「臨時パートナーミーティング」で明らかにした。東芝と第三者委員会は7月21日に記者会見を開き、詳細な〝粉飾〟の手口などを明らかにしたため、クライアント企業などから監査の品質に疑義が呈されることを恐れた新日本の執行部が、外部からの質問や批判にどう対応すべきか、幹部社員に周知徹底するため、ミーティングを開いたようだ。
出席した複数のパートナーや関係者によると、品質管理を担当する持永勇一専務理事が「新日本は東芝にだまされた」と東芝側に非があるとしたうえで、外部から問い合わせを受けた際の「想定問答」用の資料を配布。同資料の中で「過去において東芝の監査は、日本公認会計士協会や金融庁の公認会計士・監査委員会の検査対象にならなかったのか」という想定質問を明記し、持永氏が口頭で「日本公認会計士協会からは1999年3月期と2014年3月期の、金融庁の公認会計士・監査審査会からは11年3月期の、それぞれの東芝の決算を抽出して検査を受けたが、いずれも適正と判断された」と説明した。
2011年3月期と14年3月期は、東芝が不正会計をおこなっていた期間(2009年3月期~15年3月期の第3四半期)に該当する。出席した複数のパートナーと関係者は「金融庁と協会がウチの検査で、ともに東芝監査を適正とみなしたから、ウチは大丈夫と言いたいのだろう」と受けとめた。
ところが、翌日の23日朝になって執行部から各パートナー向けにメールが送信され、
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