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2016年の世界経済はどうなるか

先進国は成長を維持するだろうが、その鍵を握るのはBRICs諸国だ

榊原英資

「中国の成長率」への懸念

 世界経済の成長率は2013年の2.4%から2014年には3.4%に上昇したが、2015年には再び下落し3.1%になっている(2015年の予測は2015年10月6日のIMFのもの)。アメリカ・イギリス等の先進国はそこそこ好調なのだが(2015年の成長率はアメリカ2.6%、イギリス2.5%)、ロシア・ブラジル等の資源輸出国が大きく崩れているのだ。

 IMF予測によれば、ロシアはマイナス3.8%、ブラジルはマイナス3.0%だ。原油価格等天然資源価格が急落したことがその原因だ。この影響もあって新興市場国全体の成長率は4.5%と2014年の4.6%から下落している。

APEC首脳会議に臨む中国の習近平国会主席=2015年11月19日、フィリピン・マニラ、代表撮影拡大APEC首脳会議に臨む中国の習近平国会主席=2015年11月19日、フィリピン・マニラ、代表撮影

 中国も2014年の7.3%から15年には6.8%まで下落するとされている。中国は1980年から2011年までは高度成長期。この30年余の平均成長率は10.03だった。しかし、2012年ごろから中国経済は安定成長期に移行し、2012年は7.75%、2013年は7.69%、2014年は7.30%と成長率は次第に下ってきたのだった。

 IMFの2015年の予測は6.81%とついに6%台に突入するというのだ。中国政府は2015年上半期は7.0%の成長率を達成したと発表しているが、市場関係者の多くは成長率7%を大きく下回っているのではないかと懸念している。

 電力使用量・鉄道輸送量・銀行融資を組みあわせてつくられている李克強指数等からみると成長率は5%を下回っていると思われるのだ。IMFは2016年に中国の成長率は15年の6.8%からさらに下落し6.3%になるとしている。長年推進してきた「一人っ子政策」の影響もあって、中国の人口は2020年前後に13億7千万人でピークを打って、下落に向かうとされている。

 新興市場国で好調なのはインド。IMFの予測によると2015年の成長率は7.3%と6.8%の中国と逆転している。2016年はさらに7.5%に達するとの予測だ。中国の1980~2011年の平均成長率は10.0%、インドのそれは5.79%と中国がインドを4%強上回っているのだが、ここにきてインドが成長率で中国を逆転したのだ。

 しかも、中国の成長率は2050年にむけて徐々に低下し、2050年には3~4%になると予測されているが、インドは6~7%の成長率を今後とも維持するとされている。主たる原因は人口の増加。2014年時点では中国の人口は13億6782万人とインドの12億2759万人を1億4千万人程上回っているが、長く維持してきた「一人っ子政策」のせいもあって数年中には中国の人口は減少局面に入る。

 2050年の中国の人口は13億5000万人前後だが、インドの人口は16億6000万人に達すると予測されている。おそらく、2025年前後に中国とインドの人口は逆転することになるだろう。そして、前述したように人口の逆転はおそらく成長率に影響する。既に2015年の成長率はインドの方が高くなっているが、それが今後とも継続するということだろう。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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