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止まらない円高と株安

依然として正念場にあるアベノミクス

榊原英資 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

世界経済の先行きは不透明

ニューヨークで講演するFRBのイエレン議長拡大ニューヨークで講演するFRBのイエレン議長

 2015年には1ドル120円前後で推移していた円ドルレートが2016年に入って大きく円高に傾いてきている。2016年1月の月平均は1ドル118.31円、2016年2月の月平均は1ドル115.09円、そして3月から4月にかけて1ドル111円台まで円高になってきている。

 他の通貨との関係も考慮したドルインデックスはこの1年は大きく下っている訳ではないので、円高はドル安の結果というより、安全通貨としての円の需要がこのところ大きく拡大していることの結果だといえよう。

 世界経済の先行きは不透明。特にBRICs諸国の景気回復が順調に進んでいない。石油等天然資源価格の急落で、資源輸出国の経済は大きな打撃を受け、2015年ブラジルはマイナス3.8%、ロシアはマイナス3.7%(IMFによる2016年1月の予測)まで落ち込んでいる。

 IMFは当初ブラジルは2016年にはマイナス1.0%、ロシアはマイナス0.6%まで回復すると見ていたが(IMFの2015年10月時点での予測)2016年1月これを下方修正し、ブラジルはマイナス3.5%、ロシアはマイナス1.0%と予測している。

 石油価格は2016年に入っても下落を続け2016年2月には月平均で1バーレル30.35米ドル(WTI)まで下ってきている。3月、4月に入って若干戻してきているものの1バーレル35~42米ドルのレンジ推移、2015年の年平均48.75ドルを下回っている。ちなみに2014年には年平均で93.13ドルだったのだ。(いずれもWTI)

買い続けられる円

 価格の急落は石油だけではなく鉄鉱石価格等天然資源価格全体に及んでおり当面大きく反転する気配はない。ということは資源輸出国の経済も低迷が続くということで、IMFが今年に入ってブラジルやロシアの成長率予測を下方修正をしたのもそのためだ。

 こうした中で円は安全通貨として買い続けられ、今や1~2年前の1ドル120~125円のレンジから105~110円のレンジに推移してしまったのだ。現在は1ドル109円前後、105円を目指す展開になっている。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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