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価格反転は今後も続くとの見通し

レギュラーガソリンの会員価格が1リットル102円のガソリンスタンドも=1月9日夜、大阪市浪速区拡大レギュラーガソリンの会員価格が1リットル102円のガソリンスタンドも=1月9日夜、大阪市浪速区

 原油価格はアメリカのシェールガス効果等もあり2014年末から急落し、2016年1月にはWTIの月間平均価格は1バレル31.70USドルまで下落した。

 2年前の2014年1月に比べると1/3にまで下ってしまったのだ(2014年1月のWTI月平均価格は1バレル95.00USドル)。

 2月には底値が続いたが、3月からは反転、5月初めには1バレル45USドルまで戻ってきている。他の天然資源価格の動きもほぼ同様。鉄鉱石価格は2015年12月に1トン39.60USドルまで下がったが、その後反転、1トン60USドル前後まで戻してきている。

 今後の価格の見通しだが、このところの反転が続き、年末には石油価格は1バレル50USドル前後になるとの見方が強くなってきている。

 石油価格の急落はアメリカのシェール・オイルの乱開発が重要な原因の一つだったが、このところ開発が下火になり、北米のロータリー・リグ(油井)カウントがピークの1609本から536本まで減ってきている。これは67%近い減少。当然、価格は上昇することになる。

 ゴールドマン・サックスは今年の国際経済見通しで原油価格が2017年にかけて1バレル52USドル前後まで回復すると予想している。最近の価格反転が今後も続いていくと見ているのだ。

 また、ロシアのファイナンシャルグループBKSのアナリスト、キリル・タチェンニコフは今年末までに1バレル60ドルに達すると予測している。原油輸出国であるロシアの予測は若干希望的観測というところがあるのかもしれない。

 例えば米エネルギー省エネルギー情報局は3月8日、2016年17年の価格見通しは1バレル40.09USドル、従来予想の1バレル50.00USドルから大きく下げたのだ。サウジアラビア等旧来の原油国は供給を減らしておらず、また、在庫調整と減産に時間がかかりそうだと見通しているのだ。

 原油価格の動向は世界経済の今後の展開に大きく依存することになるのだろう。IMFは最新の世界経済の見通しで世界全体の成長率は3.2%と前回の見通しから0.2%の下方修正をしている(2016年4月12日発表、前回見通しは2016年1月)。

 特にブラジル・ロシア等の資源輸出国の景気回復は思わしくなく、2016年ブラジルはマイナス3.8%、ロシアはマイナス1.8%と前回予測からそれぞれ0.3%、0.8%の下方修正をしている。IMFは原油価格の反転は本格的なものではなく、今年も下落が続くと見ているのだ。

中国経済の行方とGDP統計

 中国経済もこのところ減速が続いている。

 中国のGDPの実質成長率は1980~2011年の平均で10.03%と10%を上回っていた。しかし2012年からは成長率は7%台に下落(2012年7.70%、2013年7.70%、2014年7.30%)。2015年には6.90%と6%台まで下ってきている。

 高度成長期が終焉し安定成長期に移行したのだが、IMFは2016年にはさらに6.49%まで下落すると予測している(IMFによる2016年4月時点の推定)。

 この6.9%というGDP統計が信頼できるのかどうかに疑問をもつむきも少なくない。

 というのは、貨物輸送量・電力消費量・銀行融資残高の三指標から構成されているいわゆる李克強指数は弱く、この指数でGDP統計を計算し直すと実際は半分以下の3.8%増だというのだ。中国の2015年の輸入は14.1%の減となっており、どうもGDP6.9%増との整合性がとれないのだ。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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