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好調なアメリカ経済

多様性と流動性がアメリカの強みだが、それが大きな問題を生んでいることもたしかだ

榊原英資 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

米経済は「良好」に推移

ジャージーシティーから眺めるマンハッタンの高層ビル街拡大ジャージーシティーから眺めるマンハッタンの高層ビル街

 2016年7月に入ってニューヨーク・ダウ平均は大幅に続伸し、史上最高値を更新し続けている、IMFも6月22日に公表した米国に関する年次報告書で、米経済は「全般的に良好」に推移しているとしている。IMFはアメリカの2016年経済成長率は2.2%、17年は2.5%となると予測し、インフレ率も2%に向けて緩やかに上昇していくとの見方を示している。

 非農業部門の雇用も5月には1.1万人増に落ち込んだが、6月には前月比28.7万人増と市場予想の17.5万人を大きく上回った。民間就労者数が前月の0.6万人減から大きく巻き返し26.5万人増になったことが影響しているのだ。

 2010年代に入ってアメリカ経済は順調に推移し、2011~15年間の平均成長率は2.03%と2%を超えている。2015年の成長率2.43%は先進国の中で最も高い水準。イギリスは2.25%、オランダが1.93%、ドイツが1.45%、ベルギーが1.37%、フランスが1.14%、イタリアが0.76%だ、ちなみに日本は0.47%と先進国の中では最も低い成長率になっている。

 インフレ率もアメリカは2015年0.11%と日本(0.79%)、ドイツ(0.14%)より低くなっている。ちなみにフランスは0.08%、イギリスは0.05%、イタリアは0.10%と先進国はいずれも低成長・低インフレ状況にある。

最も成長率が高いアメリカ、重要な要因の一つは人口増加

 先進国は次第に成熟段階に入り、成長率は0~2%のレンジ、インフレ率は0~1%のレンジに入っている。ただ、その中でもアメリカで最も成長率が高く2%を超えているという状況なのだ。その重要な要因の一つはアメリカの人口が増加し続けているということだ。

 2016年のアメリカの人口は3億2433万人(IMFによる2016年4月の推定)で、この数字は2011年の3億1207万人、2006年の2億9893万人を大きく上回っている。アメリカの人口はここ30数年増加し続けているのだ。衆知のように日本は2012年から人口が減少し、この5年間で100万人以上減っている(2016年の人口は1億2654万人、2011年は1億2783万人)。

 プライス・ウォーターハウス・クーパーズによる「2050年の世界」の予測でも、アメリカは中国・インドに次ぐ世界ナンバースリーのGDPを維持するとされている。2050年中国のGDPは61兆790億ドル(PPPベース・2014年基準)、インドのそれは42兆2050億ドルと予測されているが、アメリカは41兆3840億ドルとインドとほぼ同じレベルのGDPを維持している。日本やドイツ、イギリス等の他の先進国がインドネシア・ブラジル・メキシコ等に抜かれて順位を落とすとされているなかでアメリカだけが現在とそれほど変わらないステータスを維持しているのだ。

 2015年の世界の人口は73.2億人前後と推計されているが、2100年には112億1千万人まで増加すると予測されている。人口の増加が最も多いのは二ジュール(2015年から2100年に952%増加)、ガンビア(547%増加)、タンザニア(459%増加)等アフリカ諸国だが、アメリカも40.0%増加すると推計されている。先進国の中でも最も人口増加率が高いのはアメリカ。ちなみに日本は34.3%減少、ドイツは21.6%減少、イタリアは17.0%減少するとの予測だ。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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