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「統合から分離へ」ーブレクジット後の欧州

世界は次第にグローバル化から主権国家中心に戻りつつあるのではないか

榊原英資

グローバリゼーションの負の側面が拡大か

次期首相に決まった後、報道陣に語るテリーザ・メイ氏=ロイター、7月11日拡大次期首相に決まった後、報道陣に語るテリーザ・メイ氏=ロイター、7月11日

 去る6月26日、イギリスは国民投票でEUからの離脱を選択した。離脱賛成51.9%、反対48.1%の僅差(きんさ)だったが、前首相のデーヴィット・キャメロン等のリーダー達にとってはショックだった。まさか国民が離脱を選ぶとは思っていなかったのだ。投票の結果に責任を取ってキャメロン首相は辞任。7月13日に前内務大臣テリーザ・メイが首相に選ばれている。

 離脱選択の最大の原因は難民問題だったといわれている。EU内では、人・物・金の移動は原則自由。紛争や貧困に苦しむ中東やアフリカからヨーロッパへの難民の流入が数十万人に膨らんでいる。

 難民の移入は各地で様々な問題を引き起こしており、反移民を掲げる新興政党が各国で前例のない躍進を果たしている。しかし、ドイツのメルケル首相は難民流入を防ぐための国境閉鎖を引き続き拒否する姿勢を鮮明にしている。とはいえ、バルカン諸国の国境管理が厳しくなったことで、ギリシャに滞流したままの難民・移民の数が約3万人に膨れあがり、ヨーロッパを窮地に陥れている人道問題が新たな段階に入ってきているのだ。

 難民問題に典型的に見られるように、欧州統合、あるいは世界的グローバリゼーションの負の側面が拡大し、統合の動きが場合によると逆転する可能性が出てきているといえるのだろう。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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