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「完全自動運転の時代」に向け急速に進む技術開発

法規制を含め、社会的コンセンサスの整備が必要だ

片山 修

 自動運転技術をめぐり、世界を舞台に企業間の攻防が激しさを増している。いったい、自動運転は、いつ、どんな形で実現するのか。完全自動運転の時代は、本当にやってくるのか。

5年後には完全自動運転車が実用化?

拡大シリコンバレーを走るグーグルの実験車
 米フォード・モーターは16年8月、ハンドルやアクセルペダル、ブレーキペダルのない完全自動運転車を、5年後の2021年に量産化すると発表した。独フォルクスワーゲンも、BMWも、5年後の完全自動運転車の実用化を計画している。

 このように、自動運転は、私たちが想像している以上のスピードで、急速に進展している。

 日本では、自動運転のレベルは、4段階に分けられる。「レベル1」=加速、操舵、制動のいずれかをシステムが行う。「レベル2」=加速、操舵、制動の複数をシステムが行う。自動車線変更や合流はこれに相当する。「レベル3」=加速、操舵、制動のすべてをシステムが行い、緊急時のみドライバーが対応する。「レベル4」=ドライバーがまったく関与しない完全自動運転――だ。

 「レベル1」の技術は、すでに各メーカーが搭載している。富士重工業のスバルの「アイサイト」に代表される自動ブレーキなど予防安全装置がそれにあたる。

 「レベル2」は、16年8月に販売が始まった日産の新型「セレナ」に搭載された運転支援機能「プロパイロット」が該当する。高速道路で車線変更をしない場合に限り、自動走行ができる。私は、その「セレナ」に試乗したが、高速道路での渋滞時に「プロパイロット」を使用すれば、ストレス軽減につながるのは確かだ。ただし、システムに頼りきれば思わぬ事故を招きかねない。

 現に、同年5月、テスラ車の運転支援機能を使用中、ドライバーが死亡する事故が発生した。「レベル2」にもかかわらず、ドライバーは運転支援機能を過信し、ハンドルから手を放していたのが原因といわれている。

 メーカーの間でもっか熾烈な競争が繰り広げられているのが、「レベル3」だ。昨年の東京モーターショーで、日産のほか、トヨタやホンダなどは、高速道路での自動運転車の走行試験を披露した。なかでも、日産は難易度の高い、クルマ、バイク、自転車や歩行者などが混在する一般道路での自動運転車を発表した。私は、トヨタや日産の自動運転車に試乗したが、トヨタなどの高速道路での自動運転に比べて、日産の一般道路での自動運転は、少しばかりリードしている印象を受けた。

 では、目的地までドライバーのいらない「レベル4」の完全自動運転が実現し、一般道路を走るのは、いつか。2020年説もあるが、〝夢の車〟の登場は、まだ少し先の話ではないかともいわれている。とはいえ、世界では、すでに「レベル4」の自動運転車の実証実験が行われている。

自動運転タクシーのテスト運行も開始

 例えば、8月25日、マサチューセッツ工科大学の研究員二人が設立したシンガポールのベンチャー企業「ヌートノミー」が、同国の先端企業が集まる商業地区「ワンノース」内限定で自動運転タクシーのテスト運行を開始した。万一に備えて運転席にはドライバーがいて、 ・・・続きを読む
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筆者

片山 修

片山 修(かたやま・おさむ) 経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)8万部のベストセラー。『本田宗一郎と昭和の男たち』(文春新書)、『人を動かすリーダーの言葉 113人の経営者はこう考えた』(PHP新書)、『なぜザ・プレミアム・モルツは売れ続けるのか?』(小学館文庫)、『サムスン・クライシス』(張相秀との共著・文藝春秋)、『社員を幸せにする会社』(東洋経済新報社)など、著書は50冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。 公式ホームページ

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