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国会論戦のレベル

 国会のTPP特別委員会質疑をテレビ中継で見た。残念ながら、国会の論戦とはこの程度なのかと思った。野党の質問は、口調は激しいが、的を外しているものがほとんどだった。

 まず、交渉の過程を明らかにすべきだという、繰り返し与党・政府を攻撃してきた論点である。

 政府間のいかなる交渉でも、民間の交渉でも、誰が何を言ってどう反論したとか、どれだけ要求してどこで落ち着いたかなどの途中経過を明らかにできないのは当然である。もし、日本政府の担当者が交渉の内容をペラペラと外部にしゃべるようなら、どの外国も日本とは怖くて交渉しようとしなくなるだろう。野党の質問は国益を損なうものだ。

 また、交渉というのは一直線で終わるのではなく、山あり谷ありで、また、やり取りする中でお互いのポジションが変わってくることもある。国会に承認を求めているのは、交渉の経緯ではなく交渉の結果としての協定である。その結果が国益に反するというのであれば、国会は堂々と否決すればよい。

 野党は、与党・政府が交渉経緯を明らかにできないのはわかっていて質問しているのだろう。政府を長時間攻撃していることを示したいという時間稼ぎの質問である。

経済学を理解しているか

衆院TPP特別委で答弁する山本有二農水相(左端)。右端は安倍晋三首相拡大衆院TPP特別委で答弁する山本有二農水相(左端)。右端は安倍晋三首相

 輸入米の調整金を、敵失を取ったと思ってやたら時間をかけて攻撃している。しかし、質問内容を聞くと、質問者が基礎的な経済学も理解していないことがよくわかる。農政に素人の農林水産大臣のたどたどしい答弁のほうが、経済学をよく理解している。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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