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トランプ大統領で世界はどう変わるのか

グローバリゼーションと統合の時代は次第に終わりを迎えるだろう

榊原英資 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

アメリカの選挙民は「変化」を求めた

数千人の若者やクリントン氏支持者がトランプ氏に抗議するデモ集会を開いた=11月12日、米ニューヨーク拡大数千人の若者やクリントン氏支持者がトランプ氏に抗議するデモ集会を開いた=11月12日、米ニューヨーク

 大方の予想に反して、ドナルド・トランプがアメリカ大統領選挙で勝利した。2016年5月末から7月末にかけて行われた計4回の世論調査ではすべてヒラリー・クリントンの支持率がトランプのそれを上回っていた。

 7月25~29日に行われた4回目の調査では、クリントン支持41%、トランプ支持35%、どちらも支持しないが25%だった。結果は、トランプが獲得した選挙人の数は290人とクリントン支持228人を大きく上回ったのだった。民主党が伝統的に強かったオハイオ州・ペンシルベニア州等で勝利したのが大きかったという。ただ全体の得票数ではクリントン47.7%、トランプ47.5%と、クリントン支持がわずかに多いという結果だった。この得票数の結果を根拠にトランプ大統領を認めないというデモンストレーションが各地で起こっている。

 マスメディアの予測がことごとく外れたのは隠れトランプ支持者が多かったからだとも言われているが、アメリカの選挙民たちが「変化」を求めた結果でもあったのだろう。ヒラリー・クリントンは元ファースト・レディーで、上院議員を8年務め、バラク・オバマ政権では4年間(2009~13年)国務長官を務めたワシントン政界のインサイダー。華麗な経歴とその能力は各方面から高く評価されている。

 対するドナルド・トランプは、不動産会社トランプ・オーガニゼーションの会長兼社長で実業家として大きな成功を収めたが、政界に進出するのは初めてで、軍人になった経験もない。まさにワシントンのアウトサイダーで、この点ではクリントンと対照的な経歴の持ち主だということができるのだろう。

 メキシコ国境に壁をつくるだとか、ムスリムの入国を禁止する等と過激な発言を繰り返し、多くのメディアに強い非難を浴びていた。日刊紙・週刊紙・雑誌・学生新聞・国際報道機関等は圧倒的にクリントン支持。クリントン支持425機関に対してトランプ支持はわずかに12機関だった。

 例えば、ニューヨーク・タイムズでは2016年1月30日の紙面でヒラリー・クリントンを「近代史上、最も能力の高い大統領」と称賛する一方で、ドナルド・トランプを「経験もなければ、安全保障や世界規模の貿易について学習することへの興味もない」と酷評したのだった。

 しかし、アメリカの選挙民はトランプを選んだ。おそらく、その最大の理由はトランプが掲げる「変化」を望んだということなのだろう。

政治的転換点を迎えた世界

 実は、世界は今大きな政治的転換点を迎えている。そして既存の政治家への不信感もこうした状況の中で高まってきているのだ。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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