メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

中国経済の変調と米中関係の行方

中国当局はトランプ米政権の推移を慎重に見守りつつ、何らかの手を打ってくるだろう

榊原英資

「先行き不透明」は市場関係者の一致した見方

酒泉衛星発射センターの敷地内には、「宇宙強国を建設しよう」のスローガンと習氏の肖像画が掲げられていた=2016年10月拡大酒泉衛星発射センターの敷地内には、「宇宙強国を建設しよう」のスローガンと習氏の肖像画が掲げられていた=2016年10月

 中国経済は1980年から2011年まで平均10%弱の高成長を達成した。その後、安定成長軌道に入り、次第に成長率は低下し、2015年には6.90%まで下ってきている。

 2016年はIMFの予測(2016年10月の世界経済見通し、WEO)によると6.59%だ。特に製造業の成長率低下が著しく、電力消費量・貨物輸送量・銀行融資額から構成されるいわゆる李克強指数は2~3%の成長率を示唆している。

 ダボス会議に初めて出席するためにスイスに訪れていた習近平中国国家主席はベルンで、「中国経済は全般的に着実に推移している。昨年のGDPは前年比6.7%とわれわれの予想に届かない見込みだが、一部国際機関の見方では、主要経済の中で最も高い部類に入る成長を遂げる見通しだ」と述べている。

 また、「中国は新常態(ニューノーマル)に差しかかっているが、スイス企業などと協力して経済の質を高めるとともに、一層効率的かつ持続的な経済を実現することが可能だ」と、中国が高度成長期から安定成長期に移行したことを認め、安定成長期でも持続的に成長を維持することが可能だと強気の発言をしているのだ。中国のトップとして当然の意思表明ではあるが、中国経済の先行きが不透明なのは市場関係者達の一致した見方になりつつあるようだ。

 こうした状況を受け、中国からの資金流出は拡大し、2016年は3000億米ドル(約35兆円)と、2015年に続いて流出が拡大している。2010年から14年までは流入超で、2010年には約3000億米ドルが流入していたのだが、それが2015年から流出に転じているのだ。

・・・続きを読む
(残り:約1564文字/本文:約2268文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

榊原英資の新着記事

もっと見る