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2017年は景気回復の年になるか?

あるいは保護主義化・反グローバリズムが育っていく年になるかもしれない

榊原英資

緩やかな景気回復の年?

 国際通貨基金(IMF)の2017年1月の世界経済見通し(WEO)によれば、2017年は穏やかな景気回復の年になるはずだ。2016年に前年の3.2%から3.1%に下落した世界経済全体の成長率は、2017年には3.4%まで回復すると予測されている。

 特に新興市場国及び途上国の成長率は4.5%と、2016年を0.4%上回るとされている。2016年にマイナス3.5%だったブラジル経済がプラス0.2%に浮上し、マイナス0.1%だったロシアが1.5%の成長を遂げるというのだ。

 たしかに下落を続けていた原油価格は、2016年2月で底を打ち(WTI1バレル30.35USドル)、2016年12月には1バレル52.01USドルまで上昇している(WTI月間平均価格)。鉄鉱石の価格も2015年12月の1トン39.60USドルまで下ったが、1年後の2016年12月には倍以上の1トン79.75ドルまで上っている。資源輸出国であるブラジルやロシアは、当然、資源価格上昇の好影響を受け、成長率が上昇するということなのだ。

アメリカ経済は強く、インドも好調

 先進国についても、特にアメリカ経済が強く、2017年には前年の1.6%から2.3%まで成長率が上昇する。ユーロ圏や日本は横ばいだが(ユーロ圏は2016年1.7%、17年1.6%、日本は2016年0.9%、17年0.8%)、アメリカ・カナダがひっぱる形で先進国全体の成長率は2016年の1.6%から17年には1.9%にあがるとの予測だ。

 中国は若干減速するものの(2016年6.7%、17年6.5%)、インドは好調で、2016年の6.6%から17年には7.2%と7%台に戻る。中国の減速はしばらく続くが(2018年は6.0%)、インドは成長率を高めていくとされている(2018年は7.7%)。中国が人口減少の局面に入り、老齢化が進んで次第に成長率を落としていくのに対し、インドは今後とも人口が増加し、7%台の成長をしばらく続けていくことになるのだろう。

 2014年までは中国の成長率がインドのそれより高かったのだが(2012年中国7.90%、インド5.62%、2013年中国7.80%、インド6.64%、2014年中国7.30%、インド7.24%)、2015年にインドが逆転し(2015年中国6.90%、インド7.56%)、それが2017年以降は続いていくと予測されているのだ。

不確定要因はトランプ大統領の動き

トランプ大統領(手前)の演説を聴くペンス副大統領(左)とライアン下院議長=2月28日、ワシントン、ランハム裕子撮影 拡大トランプ大統領(手前)の演説を聴くペンス副大統領(左)とライアン下院議長=2月28日、ワシントン、ランハム裕子撮影

 2017年の大きな不確定要因は、アメリカの新大統領ドナルド・トランプの動きだ。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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