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温暖化対策、このままでは日本企業は世界の孤児に

動かぬ業界団体と経団連、1000社超す企業連合がけん引する欧米と落差

木代泰之

欧米企業との落差が際立つ

 地球温暖化を防ぐ新しい国際ルール「パリ協定」が昨年11月に発効し、欧米の主要企業がなだれを打ってCO₂など温室効果ガスの排出削減に動いている。

 日本でも先進的な企業が行動を始めているが、まだ少数派だ。先頭を走ってビジネスや技術改新に生かそうとする欧米企業と、世界市場で不利になることに危機感が薄い日本企業。この落差はどこから出てくるのか。

パリ協定が成立したCOP21=仏政府のHPより拡大パリ協定が成立したCOP21=仏政府のHPより

温暖化に対応しない企業は入札にも参加できない

 3月9日、環境省主催の「低炭素社会に向けた企業行動フォーラム」が開かれ、この分野で先進的なコニカミノルタ、ソニー、積水ハウスの3社が自社の取り組みを語った。

 複写機などの事務機器メーカーであるコニカミノルタは、製品ライフサイクル(部品調達から生産・物流・利用まで)の温室効果ガス排出量を、2050年には今より80%減らす計画を進めている。

世界の人為的CO2排出量の推移(ギガトン/年)(IPCC資料より)拡大世界の人為的CO2排出量の推移(ギガトン/年)(IPCC資料より)

 80%という削減目標は、パリ協定(注)の3の認識に基づいている。世界のCO₂排出量は産業革命以降、急速に増えており(上のグラフ)、これを自然吸収量のレベルまで減らす。そのため同社は工場や製品の省エネルギー化、素材の変更、部品納入業者への指導などを行い、基準を満たした製品はすでに35機種、売上高では57%に達している。

(注)パリ協定のポイント
1:先進国も途上国も全員参加の枠組みとする 2:気温上昇を産業革命以前に比べ2度Cより低く抑える
3:21世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出量を自然吸収量と同レベル(正味ゼロ)にする 4:5年ごとに実績を検証して目標を引き上げる

 重要なのは、こうした改善努力をしない企業は世界でのビジネスが不利になっている、という現実である。

 コニカミノルタの担当者はこう語る。

 「当社の売上高の80%は海外。中でも欧州では入札の際に、工場のエネルギーは?、部品の調達先は?と排出量抑制の内容を具体的にチェックされる。ここをしっかりやっていないと、入札にも参加できない」

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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