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チーズの関税撤廃をめぐる日本とEU、攻防の行方

日本政府が強硬姿勢を採ろうとする思惑とは何か

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

チーズの関税を撤廃できるかどうかをめぐり難航?

日EU協議に臨む(奥右から)岸田文雄外相、山本有二農水相と(左から)ホーガン欧州委員、マルムストローム欧州委員=7月1日、東京都港区の外務省飯倉公館、代表撮影 拡大日EU協議に臨む(奥右から)岸田文雄外相、山本有二農水相と(左から)ホーガン欧州委員、マルムストローム欧州委員=7月1日、東京都港区の外務省飯倉公館、代表撮影

 EU(欧州連合)の自由貿易協定交渉は、日本がチーズの関税を撤廃できるかどうかについて難航し、7月1日に合意することができなかったと報じられた。このため、外相と農相が4日にベルギー・ブリュッセルのEU本部に赴き、6日の首脳会談で大筋合意できるよう再交渉することとなったと言う。

 チーズの関税を撤廃すると、全生乳生産735万トン中、46万トン(6%)のチーズ向け生乳に影響が出るからだとか、TPP(環太平洋経済連携協定)ではチェダーやゴーダなどのハード系のナチュラルチーズについては関税を撤廃したものの、カマンベールやモッツァレラなどソフト系のナチュラルチーズの関税は維持したので、EUに譲歩すると、豪州やニュージーランドなどのTPP参加国がソフト系のナチュラルチーズの関税も撤廃するように要求しかねないとかの反対理由が報道されている。

報道されている反対理由は眉つばである

 おそらく農林水産省の解説を疑うことなくそのまま報道しているのだろう。

 しかし、報道されている反対理由は、少し考えれば眉(まゆ)つばだとわかる。

 まず、後者の理由について分析しよう。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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