日EU自由貿易協定合意の効果と評価
2017年07月07日
日EU自由貿易協定交渉が大枠でまとまった。〝大枠〟というのは、TPP交渉で使われた〝大筋〟合意という内容と異なり、まだ細部では詰める余地がある、実質的な交渉はまだ残されているという意味だそうだ。
今回はチーズの関税の扱いが焦点となった。
交渉の結果は、ゴーダなどのハード系のナチュラルチーズは、TPP(環太平洋経済連携協定)合意と同様撤廃する、カマンベールやモッツァレッラチーズなどのソフト系のナチュラルチーズについては、関税は撤廃しないで低関税の輸入枠を設け、その輸入枠を使って輸入されるチーズの関税を16年かけてなくすというものだ(輸入枠についての当初の関税の水準は公表されていない。まだEUと合意していないのだろう)。
EUは一定の数量までは低い関税で輸出できるが、その量を超えると29.8%というこれまでと同様の関税が適用されるということである。
その輸入枠については初年度2万トン、16年目に3.1万トンにする。現在EUからのナチュラルチーズの輸入量は6.8万トン、そのうち明らかにソフト系と思われるフランス、イタリアからの輸入が合計1.8万トンであることからすると、それほど大きな量ではない。
これによってチーズの小売価格が下がるという解説報道が行われている。残念ながら、そのようなことは起きない。それどころか、チーズの輸入は増えないかもしれないのだ。
輸入枠というは、それを使って輸入する業者が低い関税(たとえば10%)を払うだけで済むというものである。
この輸入枠というのは、どのようにして業者に配分されるのだろうか?
これまでの輸入実績に応じて配分したり、政府の窓口に来た者順に配分するという方法と、政府が入札を行い、高く応札した業者から配分するという方法がある。どのやり方でも消費者価格は下がらない。
説明しよう。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください