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相次ぐ企業不祥事、際立つ組織の甘さと人間の弱さ

江戸の商家「家訓」の戒めを現代に重ねて読む

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

社員は不正に鈍感になり、取締役会も是正に動かない

報道陣の取材を受けた後、頭を下げる神戸製鋼所の川崎博也社長=10月12日、東京・霞が関拡大報道陣の取材を受けた後、頭を下げる神戸製鋼所の川崎博也社長=10月12日、東京・霞が関

 神戸製鋼所(神鋼)のデータ改ざん問題は、アルミ・銅から主力の鉄鋼にまで広がり、深刻な経営問題になってきた。現場では10年以上前から不正行為が黙認され、取締役会も事実を把握しながら、2カ月近く公表をためらっていた。

 9月には日産自動車が完成車検査を無資格者にやらせていたことが発覚。その前は、決算を粉飾した東芝、燃費データを改ざんした三菱自動車と、短期間に不祥事が次々に露呈した。日本企業の根底部分が劣化しているようだ。

神戸製鋼所のこれまでの不祥事一覧拡大神戸製鋼所のこれまでの不祥事一覧

 とくに神鋼の場合、過去に多くの不祥事を起こしている(上の表)。その都度反省を口にしながら、懲りずにまた不正を繰り返す。現場で一体何が起きているのか。

 工場の品質保証担当者が「これぐらいならいいか」とデータを都合よく書き換える。「それはまずい」と思う社員もいるだろうが、うかつに言い出せば上司や同僚ににらまれる。一生冷や飯を食うかもしれない。まあ放置しておこうか――罪の意識は鈍くなり、気がつけば組織全体がデータ改ざんに励んでいる。

 幹部も保身のために不正を黙認し、部門代表として取締役に選ばれる。その取締役会も当然、身内の恥をさらすような不正是正に動くことはない。だから10年以上も不正が続いたのだ。内外のユーザー企業や消費者が受ける迷惑を真剣に考えたとは思えない。東芝や三菱自でも散々見せられた構図である。

「同僚の悪事を見たらすぐ報告しなさい。小さいうちなら更生できる」

大丸の根本理念(大丸ホームページから)拡大大丸の根本理念(大丸ホームページから)

 最近、歴史研究者の間で、江戸期のモノ作りの巧みさや職人魂、資源を無駄にしないエコシステムなどが再評価されている。商家が歴代引き継いできた家訓もその一つだ。 ・・・続きを読む
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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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