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トランプ政権にとっての「許容できぬ一線」とは

北朝鮮との間で偶発的な紛争はいつ起きてもおかしくない。日本の役割は大きい

尾形聡彦 朝日新聞機動特派員

ホワイトハウス記者団を緊張させた首席補佐官の一言

日米韓首脳会談に臨むトランプ米大統領(中央)、ティラーソン米国務長官(右)=9月21日、米ニューヨークのホテル拡大日米韓首脳会談に臨むトランプ米大統領(中央)、ティラーソン米国務長官(右)=9月21日、米ニューヨークのホテル

 米国と北朝鮮の緊張が高い状態で続いている。レックス・ティラーソン米国務長官は、外交努力を続けている。しかし、トランプ大統領本人が、ティラーソン国務長官の外交努力に対して否定的な言動をとるなかで、交渉を通じて緊張を和らげようとする取り組みは進んでいない。そして、北朝鮮は、米国が警戒する「ICBM(大陸間弾道ミサイル)」の完成にだんだんと近づいている。

 日本の安倍政権は、解散総選挙で政治空白をつくり、外交努力を行わないまま10月がすぎていくなかで、北朝鮮情勢はさらに危険な領域に近づいている。米国にとって、北朝鮮が超えてはならない一線(レッドライン)はどこにあるのか、という議論がよくなされるが、トランプ政権高官の言葉や、政権に近い関係者に聞くと、それは、米本土を狙えるICBMの実戦配備にあることが見えてくる。今回はこうした点をリポートしたい。

10月12日、ホワイトハウスの会見室で記者からの質問に答えるケリー米大統領首席補佐官=ワシントン、ランハム裕子撮影 拡大10月12日、ホワイトハウスの会見室で記者からの質問に答えるケリー米大統領首席補佐官=ワシントン、ランハム裕子撮影

 10月12日午後2時前、ホワイトハウスのブリーフィングルームに突如現れた短髪のがっちりした体形の男に、ホワイトハウス詰めの記者たちは驚いた。元海兵隊大将で、ホワイトハウスの事務方トップのジョン・ケリー首席補佐官(Chief of staff)だったからだ。

 ケリー首席補佐官が7月末の就任以来、記者会見に応じるのは初めてのことだった。軍人出身で厳しい人物というイメージとは裏腹に、ときににこやかに、ジョークを交えて記者団とやりとりする姿勢は、トランプ大統領本人以上に「大統領然」とし、堂々としていた。

 トランプ・ホワイトハウスと、記者団との対立が深まるなかで、緊張感を和らげるために、ケリー本人が記者団の質問に対処しようとする狙いがあるのは明らかだった。

 そんな、最近では珍しい、ときに和やかなムードにもなったホワイトハウスの会見の最後に出た質問は、場を一気に緊張させるのに十分だった。

 「ケリー大将、北朝鮮と戦争になる可能性について、米国民は心配するべきでしょうか」

 ケリー氏はしっかりとした口調でこう答えた。

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筆者

尾形聡彦

尾形聡彦(おがた・としひこ) 朝日新聞機動特派員

1969年生まれ。慶応大学卒。1993年に朝日新聞入社。米スタンフォード大客員研究員をへて、2002年から米サンノゼ特派員としてグーグルやマイクロソフトなど米IT企業を取材。08年にロンドン特派員、09年から12年までは米ワシントン特派員としてホワイトハウスや米財務省、IMF、世界銀行を取材した。日本の財務省・政策キャップ、経済部デスク、国際報道部デスクを経て、15年5月から現職。
Twitter : @ToshihikoOgata

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