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メガバンクは「装置産業」から脱皮できるか

目指すのは「限界費用ゼロ」経営。富裕層以外にも目配りがほしい

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

低金利で業績悪化、人員削減に踏み切るメガバンク

繁華街にはメガバンクの店舗が並ぶ=東京・虎ノ門拡大繁華街にはメガバンクの店舗が並ぶ=東京・虎ノ門

 メガバンクが人員削減や店舗のスリム化を急いでいる。低金利による利ザヤ縮小で収益力が低下。長年独占してきた業務はフィンテック(金融とのITの融合企業)によって侵食されている。国内ではメガでも、世界では見劣りする日本のメガバンク。存在感を取り戻すことはできるのだろうか。

 みずほフィナンシャルグループは11月、「7万9千人の従業員を1万9000人削減し、全国の拠点数も約500から400に減らす」と発表。三菱UFJも遅れて6000人削減を表明した。三井住友だけが4000人分の業務削減にとどまっているが、低金利政策は長期化し、国内人口は減少している。いずれ人員減に踏み切ると見られている。

メガバンクの17年4~9月期の連結決算拡大メガバンクの17年4~9月期の連結決算

インターネット利用で身軽なフィンテック、金融の主役交代へ

 銀行は「装置産業」と言われる。駅前や繁華街の一等地に何百もの支店を出し、多くの人員を雇い、巨大なコンピューターシステムを動かして預金・運用・貸し出し・送金・決済などあらゆる業務を行う。その結果、コストは高くなり機動性に欠ける。

 一方フィンテックは、インターネットで身軽に起業したベンチャー企業から巨大ITのグーグル・アップルまで多種多彩。店舗を持たず、特化した金融サービスを提供し、銀行の業務を奪っている。米欧・中国が主導するフィンテックへの投資額は2兆4000億円(2016年)と巨額で、金融の主役交代が意識されている。

 たとえば決済の分野は、iPhoneを使うアップルペイや、グーグルのアンドロイドペイなどのモバイル決済が普及。資産運用は少額の資金でも安い手数料で引き受けるロボアドバイザー企業が続々登場。貸し出し分野もネット上の不特定多数の人々からプロジェクトごとに資金を募るクラウドファンディングが当たり前になってきた。

AIを利用し、企業は「限界費用ゼロ」を目指す

 そんなメガバンクが活路を見いだそうとしているのが、AI(人工知能)やロボットの導入による人員削減、そして装置産業からの脱皮である。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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