農家は貧しくない。減反政策で一方的に損をしているのは、国民・消費者に他ならない
2017年11月29日
全農等が卸売業者に販売する米の卸売価格が今年も上がっている。この3年間でみると、各年10.0%、8.6%、8.2%ずつ上昇し、合計で3割も上昇している。これに伴って、消費者がスーパー等で購入する米の価格も上がっている。
米の価格は、高校の政治・経済の教科書で教えるとおり、需要と供給で決まる。これは他の物と同じである。需要、つまり消費が増えれば上がるし、減れば下がる。供給、つまり生産が増えれば下がるし、減れば上がる。簡単な経済学である。
米の消費は長期的には減少してきている。この数年間も横ばいか微減である。米の価格を上げるような消費の増加はない。
生産はどうだろうか? 今年産米の作況指数は100で平年作である。作柄で見ると、米の価格は上がるはずがない。つまり市場だけの要因で見る限り、米の価格は上がるはずがないのである。
そうであれば、なにか人為的な要因で米の価格が操作されていることになる。それが政府による減反政策に他ならない。
減反政策とは、農家に補助金を与えて米の生産=供給を減少させ、米の価格を上げて、農家の販売収入や農協の販売手数料収入を上げようとする政策である。
農家は補助金を受けたうえで米価も上がるという利益を受ける。逆に一般の国民や消費者は、納税者負担と消費者負担の増加という二重の負担をすることになる。
その際、単に米の生産を減少させるのでは国民にまったくメリットのない後ろ向きの政策だというイメージを与えるので、米の代わりに国内生産による供給が不足し輸入に依存している麦や大豆などの作物を植えさせ(「転作」という)、食料自給率を上げるのだというもっともらしい看板を付けたのである。
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