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金融緩和からインフレ抑制への転換点

米国で年3回以上の利上げもアリとの見通し浮上。日本銀行も金融緩和の「出口」模索か

榊原英資 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

先進各国で成長率が回復

記者会見するパウエルFRB議長=3月21日、ワシントン拡大記者会見するパウエルFRB議長=3月21日、ワシントン

 2008~09年のリーマン・ショックでマイナス成長を経験した先進各国の金融当局は2009年から積極的金融緩和に転じている。アメリカは2009年、2010年、2012年と3度にわたって量的緩和を実施し、日本も2013年から「異次元金融緩和」を実施している。欧州中央銀行(ECB)も2015年から量的緩和政策に踏み切っていた。

 こうした政策の結果、低迷していた先進各国の成長率は回復し、2014年には先進国全体で2.0%に達した(2012年1.2%、2013年1.3%)。さらに2015年は2.1%、2016年は1.7%の成長率を記録し、2017年には2.3%を再び達成している。

 なかでも、アメリカ経済は好調で2014年には2.4%、2015年には2.6%を記録している。2016年は資源価格の下落で若干下落したものの(1.5%)2017年には再び2.3%を達成するとされている(2017年の数値はIMFの予測)。

インフレ率も上がる

 ただ、成長率が上昇する一方、インフレ率も上がり、2015年に0.12%だったアメリカのインフレ率は2016年には1.27%、2017年には2.14%まで上昇するとされている(2017年の数字は2018年4月時点のIMFの推計)。イギリスでも2015年に0.04%、2016年に0.66%だったインフレ率は、2017年には2.68%まで上昇すると予測されている(IMFの2018年4月時点の予測)。

 インフレ率の比較的低いドイツでも2017年には1.72%まで上昇すると予測され(2015年は0.13%、2016年は0.37%)、フランスでも2017年には1.16%までになるとされている(2015年0.09%、2016年0.31%)。デフレ状況にあった日本でも(2016年はマイナス0.11%)2017年には0.47%とプラスに転ずるとされている。

利上げを加速するアメリカ

 こうした状況を受け、アメリカは2015年12月から利上げに転じ(2015年12月に政策金利を0.25%から0.50%へ)、2017年3月(政策金利0.75%から1.00%へ)、6月(政策金利1.00%から1.25%へ)そして12月・2018年3月と引き上げを続け、政策金利は1.75%まで上昇した。2018年の利上げは3月の利上げを含み、年3回と予測されている。2018年には2%を若干上回る水準まで政策金利を上昇させると見られている。

 アメリカの中央銀行にあたるFRBの議長は2018年2月、ジャネット・イエレンからジェローム・パウエルに交代したが、パウエル新議長が年3回の利上げを基本としながら、それより多い回数の利上げをするのではないかとの見方も浮上している。欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁も2018年3月8日の理事会で従来の「緩和バイアス」を撤回し、量的緩和の解除に向けた手続きを小幅ながら一歩進めている。

金融緩和の継続を強調する日本だが……

 日本銀行は黒田東彦総裁の再任が決定したが、 ・・・続きを読む
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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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