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巨大バブル崩壊の足音

いま世界発の経済危機が起きたら、日銀には何の方策もない

原真人 朝日新聞 編集委員

拡大美しき咲き誇る約6万本のチューリップ=2018年4月30日、秋田県潟上市(写真と本文は関係ありません)

はじけて、はじめて気づく

 踊り楽しんでいるときには誰もが虜になる。宴のあと、それにとりつかれていた我が身を呪うことになる。それが、バブルだ。

 古今東西そんな事例はたくさんある。古くはオランダのチューリップバブル、英国の南海泡沫事件が有名だ。チューリップの球根や実態のない貿易会社の株式にとてつもない値がついた。どれも最後はあわれな崩壊劇が待っていた。

 バブルとは渦中にいるときには、そうと気づかぬものである。はじけて、はじめて気づく。そんな警句はいくどとなく発せられてきた。

 米国の経済学者ガルブレイスが1990年に書いた『バブルの物語』はその代表的な書だろう。人々の投機熱を「ユーフォリア(陶酔的熱病)」と呼び、どんな時代でも人間はこの熱病から逃れないと分析した。

拡大記者会見場を後にする黒田東彦日銀総裁=2018年7月31日、東京都中央区の日銀本店

反省どこへ、「危険信号」点滅

 さて現代である。ここでもそのバブルの熱病からは逃れられないものらしい。

 リーマン・ショック(世界金融危機)では世界中の人々がバブル崩壊の恐ろしさを実感し、バブルの膨張を放置してはいけないと強く学んだ。あれから10年。いま再びバブルは多くの国、さまざまな市場で大きくなっている。

 とりわけ危険な兆候を醸し出しているのが、リーマン・ショックの発生源だった米国である。

 10年前には住宅ローン債権が焦げ付き、住宅バブルがはじけた。その反省もどこへやら。最近では消費者ローンや住宅ローンの利用が急増しているらしい。その背景には、長く続いた超金融緩和政策のもとで空前の株価や不動産価格の上昇が続き、保有資産の含み益の急増で潤ったと実感した人が増えた事情があるだろう。米国の最近の家計債務は約13.2兆ドル。リーマン・ショック直前の12.7兆ドルを上回っている。

 これを「好況」ゆえ、とみる向きも多いから株価も史上最高値圏にあるのだろうが、見方を変えれば「危険信号」が点滅しているとも言えるのだ。

史上まれに見る大バブル

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筆者

原真人

原真人(はら・まこと) 朝日新聞 編集委員

1988年に朝日新聞社に入社。経済部デスク、論説委員、書評委員、朝刊の当番編集長などを経て、現在は経済分野を担当する編集委員。経済面コラム「波聞風問」を執筆中。著書に『日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス』(朝日新書)、『経済ニュースの裏読み深読み』(朝日新聞出版)、共著に『失われた〈20年〉』(岩波書店)、「不安大国ニッポン」(朝日新聞出版)など。

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