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AKBたちアイドルの握手会は過酷すぎる

鈴木京一 朝日新聞文化くらし編集部ラジオ・テレビ担当部長

●「感情労働」を強いられるアイドル

 加護亜依を最後に生で見たのは昨年春、名古屋の小さなライブハウスだった。ジャズのスタンダードナンバーを歌うツアーで、客は30~40人ほど。「一生ジャズを歌っていきたい」と言っていたが、ステージ運びはぎこちなく、「モーニング娘。」時代とは違って緊張が伺えた。

名古屋城博をアピールする加護亜依(左。右は辻希美)=2004年10月、名古屋市で

 加護は12歳でモー娘に加入。グループ内ユニット「ミニモニ。」の一員としてもヒットを飛ばした。モー娘の一番多忙な時期を過ごしており、学校に通う余裕もなかったのでは、と想像できる。

 2004年にモー娘を卒業した後もハロー!プロジェクトにとどまったが、未成年での喫煙が2度にわたり報じられ、事務所を解雇された。解雇後、リストカットをしていたといい、今回の自殺未遂は、十代のつまづきが遠因となっているように思う。

 アイドルのメンタル面の厳しさは吉田豪による元アイドルたちへのインタビュー集『元アイドル!』(ワニブックス、2005年、現在は新潮文庫)で伺える。事務所など大人たちとのトラブルや、自律神経失調症や顔面神経痛になった経験が当たり前のように語られている。吉田はあとがきで「アイドルとは普通にやっていたら精神的に壊れて当然という過酷きわまりない職業」と言い切っている。

 今、アイドルにとって過酷さを増しているのは

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