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 チャン・グンソクについて書いた前回の原稿から3カ月がたってしまった。

拡大2012年1月23日、主演映画『きみはペット』の日本公開にあわせて来日(撮影=及川智子)

 この間、彼には、実にさまざまなことがあった。4万5000人を集めた東京ドーム公演を果たし、新作主演ドラマ「ラブレイン」を撮影し、1月には日本で事務所を開設し、主演映画『きみはペット』が日本で公開され、2月には大阪京セラドームでその映画のイベントを行い、先週にはZeppTokyoで「ラウンジh」のライブを行い、さらに3月は日本でアルバムを発売予定といった相変わらず精力的な活動を続けている。

 この原稿を中断した理由はほかでもない、『きみはペット』の日本公開を控え、突然、2011年末、ソウルでグンソクをインタビューすることになったからだ。これまでこの欄で書いてきたことを直接確かめられる機会でもある。ただ実物とステージ上での像が異なるのもまたスターというものだ。

 取材時間は、表紙・グラビアの撮影時間も含めて1時間。結論を先に言うと、チャン・グンソクは想像どおり、クレバーな青年であるという印象を受けた(その一問一答は、週刊朝日1月27日号に表紙・グラビアを含め、9ページにわたって掲載された)。

 こちらの質問に間髪入れずに的確に答えてきた頭の回転の速さは、やはり、韓流の第一線に躍り出ただけのことはあると思った。ジョークやウイットの効いた言葉はいかにもグンソクらしいと思ったが、記者会見などで見せるハイなイメージとは違い、礼儀正しく、落ち着いていた。

拡大「週刊朝日」2012年1月27日号

 彼は最初に「僕は“エンタテインメント”になるために生まれてきた」と言い切った。「エンタテイナー」ではなく、「エンターテインメント」そのものだ、と言っているところがおもしろい(ちなみにグンソクは語学留学もしていて英語はよくできる)。この世界で生きる以外はありえない、他の職業に就くことなんて考えたこともないと語っているだけのことはある、潔い言葉だった。

 意外だったのは、その実行力の秘訣について、自らを、スポーツのプレーヤーにたとえて説明したことだ。自分は団体競技のプレーヤーではなく、個人競技のテニスプレーヤーだという。つねに自分との闘いをしている、どんな試練においてもライバルは自分なのだ、と。そして自分に打ち勝つ練習を大事にしているとも言った。

 実際に10年前からテニスをしているそうで、「スポーツ嫌い」で通してきた彼からは意外だった。これまでは軟弱なイメージを出していたが、実際にはストイックな性格なのかもしれない(そうでなければ、厳しい韓国芸能界の競争では生き残れないかも)。

 質問でも、こちらがどんな球を投げても確実に打ち返してくる感じだった。際立っていたのは、自分を見る冷静さである。これまでステージでは「若いけれど自信がある」と語っていたが、その自信の“源泉”についても明確に答えてきた。前々回、書いたとおり、子役のときから芸能界で活躍してきたことがやはり大きいようだ。

 「(略)自信を持つというのは、つまり、自己愛、確固たる自己愛が必要だと思うんですけど、その半面、とても自分に厳しい、自分を客観視することも必要だと思います。子役からずっと俳優業をやってきて、そういったトレーニングを自然に積んできたからだと思うんです。いろんな状況で、自分を厳しく扱いながらも自分を愛する、ときには自分がカワイイですし、ときには自分がすごく嫌いでイヤなこともあります。そういった積み重ねで得たものだろうと思うんですね」(「週刊朝日」2012年1月27日号から)

 私がとくに聞きたかったのは、前回書いた、アリーナツアーで彼が語った「人の上に人を作らず」という言葉を、彼が好むわけについてだった。それについても明確に答えてきた。 ・・・続きを読む
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筆者

林るみ

林るみ(はやし・るみ) 朝日新聞「be」編集部員

1988年、朝日新聞社入社。「アサヒグラフ」編集部員、「パーソン」編集長、書籍編集部編集委員、「週刊朝日」編集部員、「AERA」編集部員などを経て、現在、朝日新聞「be」編集部。著者に『タイガとココア』、共編著に『IRISからわかる朝鮮半島の危機』『キム・ソナが案内する「私の名前はキム・サムスン」』『ホテリア――新版公式ガイドブック』など。

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