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木嶋佳苗は「ミーハー」である

西森路代 フリーライター

  これまでに数々の論者たちが語りつくしてきた木嶋佳苗のことを書くことになり、いったいほかの人たちと違う意見が自分から出てくるのか正直戸惑った。途方にくれながら、WEB上などで意見を拾っていくと、佳苗に対しての意見は、いくつかに分類できることがわかった。

 高圧的な検事にたじろぐこともなく、自分の意見を貫く「聡明」な女性として見る人、決して美人でスタイルがいいというわけでもないのに数々の男性から貢がれたのはどうしてなのか、その「モテ」のテクニックを知りたがる人、セックスに関する言動を虚言と見て、その裏側に男性への「復讐」心があると思う人などなど。

 それぞれの意見を見ていると、木嶋佳苗への意見――特に「聡明」「モテ」「復讐」といったかぎかっこで囲んだ部分は、その意見を主張する人の主義そのものであるようにも思える。みんな佳苗に自分を重ね合わせているようだ。

 自分はというと、当初はブスなのにモテる女性であることに注目していたが、1970年代前半生まれに特有の時代の価値観に翻弄された「ミーハー」な人としても気になってきた。それは、自分がやはり1972年生まれの「ミーハー」な人間でしかないことを物語っているのかもしれない。

 佳苗が「ミーハー」って? 朝日新聞に発表された1万2328字にも及ぶ手記を見ても一切そんな言葉が出てこなかったし、テレビも見ないで育ったと書いてあるじゃない? と思われる方も多いだろう。いやいや、佳苗は「ミーハー」だ。

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