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ドラマに見る「テレビの明日」

クドカンといかりや長介とテレビの真っ当

矢部万紀子 コラムニスト

 宮藤官九郎という人がいたことを、私は正直に感謝している。

宮藤官九郎宮藤官九郎さん
 才能のある若者時代から彼の書く、彼の演じる芝居は下北沢などで見てきたが、44歳になったクドカンの「ごめんね青春!」第7回を11月24日に見ながら、私は泣き、そして感謝した、クドカンという人がいることに。

 そして「テレビの明日」について書こうと思った。

 「ごめんね青春!」の聖三島女学院高等学校3年C組は、東高(と呼ばれる男子校)との合併に先駆けて2学期から男女共学クラスになっている。C組の村井守くんは背が高い男子だが、お姉キャラというのだろうか、ちょっとクニャクニャ男子である。

 私の記憶が確かなら第4話の「恋の嵐!ガッついていこう!」のあたりで男子生徒への恋心をわりとストレートに表現してはいたが、普通に男子高校生をしていた。ストーリーの中でもメインではなく、クニャっとした男子もクラスにいるな、程度の存在だった。

 それが第6話の最後あたりの登校風景で、彼はいきなり聖三島女学院高校の制服を着ていたのだ、特に説明もなく。今の表現でいうなら「なにげに」学ランをやめて、ロングスカートの聖三島女学院の制服を着てきていた。

 そして迎えた第7話で泣いたわけだが、この日、主人公であるC組担任の原平助(関ジャニの錦戸亮)は、第1話から抱えている過去の「過失」について生徒の前で告白しようとし、長い長い前振りを述べた。「罪を認めること」と「公にすること」みたいな話だったと思う。

 錦戸の長台詞に突然、割って入ったのが村井守くんである。いきなり立ち上がり、「ゲイです」と叫ぶ。「女の子の服を着ているほうが、居心地がいいです」「女の子とおしゃべりすると、落ち着きます」といった告白が続く。

 C組でずっと一番前に座っている体重多い系女子の遠藤いずみが、グッと振り返ってこういう。

 「えーー?  今さらーー?」

 それを合図に、「知ってたしー」「似合ってるしー」と男女が口々に叫んだ。その反応に、力んで宣言した恥ずかしさと受け入れられたうれしさをクニャクニャと表現する村井くん。

 そして、私は泣いた。ネットなどで「笑えて切ない」と評されている「ごめんね青春!」だが、私にはこれが最初で、かなり大量の涙だった。

 なぜって、

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