昭和な私が解釈すると……
2015年04月09日
大塚家具親子合戦の当初、私は娘の久美子社長という人を贔屓にしていた。
ご本人が熱く語る内容をさほど熱心に聞いたわけではないが、勝久氏の隣に並ぶ長男ほかの役員候補、その後ろにずらずらと並んだ部長職だという社員たち、全員が男性で、全員がそろいもそろって表情を見せず、まさに判断停止の「ザ・イエスマン」に見えた。
勝久会長という人が創業者で、大塚家具が彼の個人商店なのだとしても、「ものを考えるのは、勝久氏だけ。あとは誰も考えていません」な状態では、この会社はダメだろう。小さいお店だって、ものを考える人がひとりではうまくいくはずがない。ましてや上場企業がそれでは、話にならないだろう。そうとしか思えなかった。
第一声は、「本日は大塚家具の中期経営計画発表会に、かくも大勢の方々にお集まりいただき、誠にありがとうございます」。
前日の父の会見に対抗してあたふた開いた会見でなく、あくまで中期経営計画を説明するのであるという「つかみ」。
ずらずら並んだ男性陣の「判断停止」の表情に対して、スーツをビシッと着て背筋を伸ばし、ひとりで立っていた。
こういうのは、同性から見ると、なかなかカッコよい。
前日の会見の報道から、彼女は一橋大学を卒業し、富士銀行を経て、コンサルタント会社に勤めていたという経歴も頭に入っていた。パワポの画面が映し出す「中期経営計画」は、いかにもコンサルのそれだと思えた。
「個人商店」vs.「コンサル経営」、どっちがよいですか? そういう構図に鮮やかにもっていった久美子氏の振る舞いに、「へー、この人、やるなー」と思ったのである。
なので勝手に、株主総会の勝敗も案外あっさりつくのではないかと思っていた。勝久氏の会見を見て、「あの態勢に任せよう」と思う株主が過半数を超えるとは、とても思えなかったからで、二者択一なら「娘の勝ち」ではないか、と。
そのまま関心を薄らせていた私だったが、親子合戦は世間の興味をすごく引いたらしく、次々いろいろな報道がなされた。
なんとはなしに読んでいると、いつの間にか久美子氏は「かぐや姫」という冠をいただいていた。マスコミが勝手につけたのではなく、社内でそう呼ばれているのだ、とわかった。
家具屋だから「かぐや姫」。うーん。久美子社長って人、あんまり社内で愛されてないのかも。
だって、サラリーマンを比較的長く続ける身として、すぐに頭に浮かぶ「かぐや姫」の正しい用例はこんな感じなのだ。
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください