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[4]ネット動画とテレビが交わるとき(上)

「めちゃユル」にみる「ユルさ」と「ガチ」

太田省一 社会学者

 「最近、『めちゃユル』が面白い」と言うと、「えっ、『めちゃイケ』」じゃなくて?」と思う方がいるかもしれない。だが決してタイトルを間違えたわけではない。

 今回は、ネット動画とテレビの関係について考えてみたい。

めちゃ×2イケてるッ!拡大『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)
 近年、テレビ局もネットとの連携にようやく重い腰を上げ始めた感がある。

 テレビドラマの最新回がネットで無料公開されることも珍しくなくなった。ただその場合はテレビ放送のプロモーションが目的である。

 しかしその一方で、それ単独で楽しめるようなテレビ局配信のネット動画も徐々に増えてきた。

 その代表格と言えるのが、「めちゃユル」だ。正式番組名は『めちゃ×2ユルんでるッ!』。

 お察しの通り、フジテレビサイト内の「ゼロテレビ」で配信されている『めちゃ×2イケてるッ!』(「めちゃイケ」)のスピンオフ的位置づけの動画である。

「ゼロテレビ」

 メインも同じナインティナインの岡村隆史。生配信が基本で、企画は毎回異なる。

 タイトル通り厳密なタイムテーブルはない。5、6時間の配信は当たり前、時には10時間という長丁場に及ぶこともある。

 例えば、2014年12月に配信された第19回では、スキャンダル報道で芸能活動を長らく休止していた矢口真里の復帰を扱っていた。題して「情報ライブめちゃユル屋」。矢口真里がテレビ復帰の際に出演した番組が「ミヤネ屋」だったことを踏まえてのパロディである。

「情報ライブめちゃユル屋」

 内容は、レギュラー陣やゲストと矢口のどっきり対面を中心に、加藤浩次が矢口をジャイアントスイングで振り回す、矢口に新しいギャグを考案する、などありながら、最後は岡村がモーニング娘。時代から共演してきた芸能界の“お兄ちゃん"として、矢口の再起に向けて真剣なエールを送る場面もあった。

 私は長年の「めちゃイケ」ファンである。だが最近は、「めちゃイケ」よりも「めちゃユル」の方が面白いと感じることもある。

 それは「めちゃイケ」らしさ、つまり遊びと真面目、笑いとドキュメンタリーという異質な要素が渾然一体となった中から生まれる独特のパワーを、今は「めちゃユル」の方で味わうことが増えたからだ。

テレビのドーナツ化現象

 なぜこの逆転現象が起こったのか。 ・・・続きを読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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