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マツコ・デラックスは、いそうでいない知識人

バランスがとれたマトモな人

青木るえか エッセイスト

 「ねえ、ダレソレのことどう思う~?」と聞かれる時というのは「一緒にそのダレソレの悪口を言いたい」か「自分の代わりに悪口をそいつに言わせる」のどっちかだろう。

 前に「斎藤美奈子についてどう思うか」と聞かれたので、「斎藤美奈子はいいですね~」とホメたらつまらなそうな顔をされて話を打ち切られた。それどころかその後は会っても目も合わせてもらえない。あー、斎藤美奈子の悪口を言わせたかったのか。ごめん。

マツコ・デラックス拡大「知識人」マツコ・デラックス
 で、「マツコ・デラックスについてどうでしょうか」と言われたということは、マツコの悪口を言ってくれということか。

 マツコで感心したことがあって、関西ローカルの番組に出てた時、「(大阪の)高槻と茨木のライバル意識」みたいな話題になってコメント振られて、

 「東京だってあるじゃないそういうの、松戸と取手がライバル意識バリバリでいがみあってたり」

 って言ったので笑ってしまった。

 高槻vs茨木というどうしようもないバカげた「オレんとこのほうがイケてる合戦」。これでアツくなる人がけっこういるんだ大阪。

 昔は阪急電車の特急は高槻市駅は停まらなかった、十三の次が大宮(京都のね)だった、そのぶっ放しぶりに特急らしさがあったのに、高槻市駅に止まるようになって特急度合いがなくなった、と言ったら高槻の人に顔を震わせて怒られた。

 「高槻市駅の乗降客数を知らないのか!」って。いや私が言うのはそういう話じゃなくて……。

 「乗降客ひとつ取ったって茨木市駅とは比べ物にならん!」って。そ、そこですか……。

 というようなくっだらないライバル意識、これを「松戸と取手の争い」とパッと例えて見せて、私はいちおう関東の出身なので、あーさぞや争ってんだろうなとわかって笑っちゃうし、関西の人は松戸と取手の土地勘がイマイチつかめないかもしれないが、そのへんは実はどうでもよくて、単に「よく知らない関東のしょぼい都市同士のしょぼい主導権争い」としてしか意味はなく、つまりそういうショボくてバカなことをやってるのかワシらは、と気づかせてくれるわけだ。
(ここまで書いておいてナンですが、たとえに出したのは確か松戸と取手だったはず……。松戸は確か。取手がもしかしたら違う市かもしれない、でもどちらにしてもすごくうまいたとえでした)

 マツコはいろんなことを知っている。

 知識というか、知恵……ってんでもないな、とにかく「いろんなことを知っている」のだ。

 世間に物知りは多いけれど物知りにもいろいろ種類があって、マツコの知ってることは、 ・・・続きを読む
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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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