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「橋下的なもの」に対抗する手段とは?(上)

「敗戦会見」はたいしたもんだったけど……

青木るえか エッセイスト

 橋下徹の敗戦会見。

 朝日新聞には『風雲児「負けは負け」』なんて大見出しが出て、さわやかに笑う橋下さんの写真も載ってたりして、敗戦の弁としてなかなか見栄えはよかった。

 当たり前だ。

 どうすれば自分の行動がウケるか、計算してやってるんだから。

 (大阪都構想の)否決の速報が打たれた瞬間から、橋下さんは会見でどう振る舞うか考えただろう、みっともなくなく、公明正大な態度に見えるように、市民や視聴者にアピールするために。

会見に臨んだ橋下徹大阪市長=17日午後11時19分、大阪市北区拡大意外にも(?)さわやかだった橋下徹大阪市長の「敗戦会見」
 いや、考えるまでもなく、そういう時にそういうふうに見えるよう、自然に振る舞うという、とっさの運動神経はある人である。

 あの場で、ああいったことを言い、ああいうさわやかな笑顔を見せるってのが正しいのかどうか、というのはまた別問題です。

 ただ、あそこで険しい顔して「反対派がデタラメなネガティブキャンペーンを繰り広げて……」とか「MBSさんに見事にやられましたね」とか言ったりすると、橋下さんを応援してるわけじゃないが「まあまあよくやったんちゃう?」程度に思っている視聴者に、「案外負けっぷり悪りいなーハシモトー」と思われたりするのは得策ではない。

 そして、橋下さんはふだん、その手の攻撃的発言はとっても多いので、反橋下の人はそういう部分も嫌っており、そういう人に対しても「え、わりと負けっぷりええやん」と思わせちゃったりもできる。

 いやー、反橋下の人は「良心的に生きていかねば」と思ってる人が多いから、そもそも人を悪く思うことに罪悪感があって、こういう笑顔にやられがちだ。憲兵隊の鬼軍曹が捨て猫拾って可愛がってたとか、そういう話に弱い。

 そんなわけで、あの敗戦会見は、橋下さんが潔いというわけではなく、橋下さんが計算してかっこつけた結果と思います。なかなかその計算ができる人は少ないから、まあたいしたもんだとも言えるだろう。

 しかし、この大阪都構想の住民投票にはドキドキさせられた。大阪市がなくなるというのも大問題だけれど、私にとって「橋下的なものが良しとされるか、そうではないのか」が得票数で決められてしまう、という恐怖があった。

 別に1000万人が一方に票を入れて自分が反対票1票だとしても、自分が間違ってるとは限らないわけだが、どうしても投票行動には「勝ち負け」「正しいvs間違い」の気分がついてまわる。橋下さんも敗戦会見で「ぼくが間違ってたんでしょう」と言ってたし。

みっともない「劣情」

 橋下的、というコトバを使う人はたくさんいて、それぞれ意味合いもちがうようだが、私にとっての「橋下的」とは、 ・・・続きを読む
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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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