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[7]ネット動画が「リア充」のものになるとき

MixChannelのキス動画、Vineの大関れいか……

太田省一 社会学者

 衆目の集まるところでキスをするのは相当の勇気がいる、はずだ。だが最近の若いカップルはそうでもないのだろうか? 

 昨今、カップルがキス動画を投稿して人気になっているという話を聞くと、ついそんな気持ちになる。

公開されているノアさんとキョウカさんの動画の一コマ=ノアさん提供MixChannelで公開されているノアさんとキョウカさんの動画の1コマ=提供・ノアさん
 このブームの中心になっているのが、動画共有サービスのMixChannelだ。10代のユーザーが中心で、月間再生回数は5億回に達するという。

 その大きな特徴は、「LOVE」というカップル向けのカテゴリーがあらかじめ用意されていることである。

 そこにカップルが「今日で付き合って〇周年」などのタイトルでキス動画などを投稿し、自分たちの仲睦まじい姿をアピールする。その評判をきっかけに、このサービスは大きくユーザーを増やした。

 それはまさに、いわゆる「リア充」の世界である。

 だがそもそも「リア充」とは、“リアル=現実"の世界で“充実"した生活を送っているからネットとは無縁の人々のことを指す表現だった。

 そのようにして、ネットに自分たちの居場所を求める「オタク」と呼ばれる人々と「リア充」とは、反目し合いながらも互いの領分を犯さぬよう棲み分けをしてきたのではなかったか?

 とすれば、ここで注目したいのは、キスの

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