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会田誠一家作品の撤去を要請した美術館に物申す

権力をからかった程度で「過剰反応」

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

 東京都現代美術館でこの7月末に起こった「会田家作品撤去要請事件」は、日本の美術史に残る事件となるのではないだろうか。1964年の赤瀬川原平の「千円札裁判」や1986年の大浦信行作品をめぐる「富山県立近代美術館事件」などとともに。

 同館で7月18日に始まった「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展は、開幕早々、会田誠一家の作品をめぐって大騒ぎになった。

 この展覧会は会田誠のほか、ヨーガンレールなど4組の現代美術作家が参加して作った夏休みの子供向けの展示だが、そのなかで会田家(誠、妻の岡田裕子、長男の寅次郎の合作)による展示の一部が美術館から改変または撤去の要請を受けた。

 7月25日付の「朝日新聞」記事によれば、「文部科学省に物申す」という毛筆の「檄文」と、会田誠が首相を演じて下手な英語で演説をする作品の2点が、「子どもにふさわしくない」などの理由で改変を要請され、撤去の可能性も示されたという。

 結果としては、8月1日付の同紙にもある通り、「会田誠さん作品、展示続行へ 都現代美術館が改変を断念」となった。

 いわば一件落着だが、この事件は日本の美術館をめぐるいくつかの問題を改めて浮き彫りにすることになった。

 1つは美術館における芸術表現の自由の問題であり、もう1つは

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