2015年10月24日
「〝ママになって働き続ける!〟をテーマに語る座談会&ワークショップを開催します。地元のお野菜をふんだんにつかった自然派ランチをいただきながら、みんなでワイワイお話しましょう。」
明るい空色を基調にしたちらしには虹が描かれている。足かけ4年にわたる、渡辺さちこさん(34)の「辛い治療」を乗り越えた気持ちがそのままあらわれているかのようだ。
妊きゃりプロジェクトとは、いつか産みたい女性と、ママ、プレママのためのライフキャリアデザインコミュニティだ。
この日、「ヘルシーカフェのら」(埼玉県さいたま市)に集まったワーキングママは15名。費用は昼食代込みで2300円だ。赤ちゃんも同伴できるので、気軽に参加できる。
「育児と仕事の両立みんなどうしてる? 〝共育て〟がうまくいくパートナーシップのコツ」をテーマに皆で語り合い、瞬く間に3時間が過ぎた。最近、渡辺さんが力を入れているテーマでもある。
当初、妊きゃりプロジェクトは、仕事と妊活の両立が主な議題だった。多くの女性が知りたい情報であると確信していたからだ。
「働きながら妊活・不妊治療をしていくことがいかに大変なのか、自分の経験を通じて、身をもって知ったからです。仕事との両立が難しい不妊治療を経験したことで、働き方そのものを考えるきっかけになり、7年半勤めた会社でしたが思いきって退職しました。子どもを授かるまでの3年間はフリーランスの研修講師、ライターとして活動していましたが、治療との両立はやはり難しく、中長期的なキャリアを描けず、闇の中を歩いているような気持ちでした」
そう、渡辺さんは振り返る。
妊活に対する自分自身の知識のなさも悔やまれることのひとつだ。
「子どもはその気になればすぐに授かれると思っていたので、当然のことのようにキャリアを優先させていました」
と、渡辺さん。20代で管理職に抜擢されるほど、仕事に邁進した。そのため、結婚後の数年間は逆に、「避妊に気をつけていた」という。
だが、いざ妊活を始めてみると、いくら排卵検査薬を試して、ピンポイントでタイミングを合わせても、一向に妊娠の気配がない。
夫からは、「仕事が忙しすぎるからじゃない?」と言われた。渡辺さんも、「自分はどこか悪いんじゃないか」と不安になり、結局、近所にある産婦人科の門を叩くことになった。この頃から、心身のバランスを崩すようになる。
「今考えると、もっと病院選びを慎重に行うべきでした。そうすれば、仕事と妊活の両立はもっとうまくやれたかもしれない」
と、渡辺さんは眉をひそめる。
その医院では、「コンドームに夫の精子を入れて持ってくるように」と
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