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キャンディーズから考える70年代アイドル(上)

ファンと共に重ねてきた歴史の集大成「ファイナル・カーニバル」

太田省一 社会学者

 「どうもありがとう!」と彼女たちは何度叫んだことだろう。今はもう存在しない後楽園球場の上空がしだいに夕闇に染まっていくなかで、彼女たちは幾度となく5万5千人を超える観客に向けて感謝の言葉を繰り返した。

 「彼女たち」とは、そう、1978年4月4日後楽園球場でのコンサートをもって解散したラン(伊藤蘭)、スー(田中好子)、ミキ(藤村美樹)の3人組アイドルグループ、キャンディーズのことである。

ハウス・ククレカレー77年正月のCMに登場したのはキャンディーズだった=渡辺企画提供拡大1977年正月、ハウス・ククレカレーのCMに登場したキャンディーズ=渡辺企画提供
 ここ何年かの紅白歌合戦を見ていると、「80年代アイドル」がキーワードになっているのがわかる。

 2013年の「あまちゃん特別企画」での小泉今日子と薬師丸ひろ子の歌の共演が評判となり、それが2014年の薬師丸ひろ子の初出場へとつながった。

 また中森明菜が久々に出演し、松田聖子が初の大トリとなって感無量の表情を見せたのも同じ昨年のことだった。

 そして今年(2015年)は、かつてたのきんトリオのひとりとして一世を風靡したマッチこと近藤真彦が19年ぶりの出場となった。松田聖子と近藤真彦は、同じ1980年のデビューである。

 もちろん紅白の動向だけですべてが推し測れるわけではない。だが、アイドルの源流は「80年代アイドル」にさかのぼるというような“歴史観”がそこに見え隠れするのも確かだろう。

 ただそこは、「ちょっと待ってほしい」というのが私の気持ちだ。 ・・・続きを読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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