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[12]15年『紅白』は「ネット紅白元年」か

小林幸子、HIKAKIN、はじめしゃちょー、ABTVnetwork、瀬戸弘司……

太田省一 社会学者

 さすがにわが家のテレビ画面に“弾幕”といわれる奔流のようなコメントが流れてきたときには一瞬目を疑った。昨年2015年の『NHK紅白歌合戦』(『紅白』)に4年ぶりに小林幸子が登場したときのことである。

小林幸子さん。ニコニコ動画とコラボレーションし、背景にコメントが流れた.拡大小林幸子が歌った時は、ニコニコ動画とコラボレーションし、背景にコメントが流れた

 そこで歌われたのは、『おもいで酒』などの演歌ではなく、初音ミクのためにつくられたボカロ曲『千本桜』であった。

 この連載でも以前取り上げたように、近年小林幸子はネットユーザーからの支持を集めるようになっている。

 かつての『紅白』名物であった巨大衣装でボカロ曲を歌う姿は「ラスボス」と呼ばれ、自ら「歌ってみた」動画をアップしてもいる。

 そして『紅白』での『千本桜』の歌唱場面。巨大衣装の小林が歌う背景のスクリーンや円状に広がった衣装の部分、さらにはテレビの画面そのものにまでニコニコ動画でおなじみのコメントが次々と流れた。

 このときツイッター上では1分あたり6万余のツイートがあり、これは番組中で最もツイート数の多かった場面だったという(「Twitter TV Japan」の公式アカウントの発表による)。

ネットが存在感を発揮

 毎年何かと視聴率が注目される『紅白』だが、2015年は二部制以後の第二部としては最低の視聴率だったこともあり、いつにもまして視聴率の話題が中心になった。

 だがネットとテレビの関係にしばしばふれてきたこの連載としては、そうした数字よりももっと見逃せないポイントが昨年の『紅白』にはあった。 ・・・続きを読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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