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『1945 予定された敗戦』を読む(上)  

白井聡『永続敗戦論』に続く、戦争の「終わり方」

福嶋聡 ジュンク堂書店難波店店長

 白井聡の『永続敗戦論』(太田出版、2013年)は、刊行3年後の現在、19刷、累計7万7000部で、今なお売れ続けている。人文社会書としては、ベストセラー、ロングセラーであると言える。

 “福島第一原発の事故以降引き続いて生じてきた事態、次々と明るみに出てきたさまざまな事柄が示している全体は、この日本列島に住むほとんどの人々に対する「侮辱」と呼ぶほかないようなものだ。あの事故をきっかけとして、日本という国の社会は、その「本当の」構造を露呈させたと言ってよい”

白井聡の『永続敗戦論』拡大白井聡『永続敗戦論』
 2011年の福島第一原発事故とその背景、そして次々と暴かれた実態は、「侮辱」の根底にある現代日本の社会構造、権力構造が、不断に存続・維持・強化されてきつつも表面上は隠されてきた〈無責任の体系〉であることを明るみに出した。

 多くの人が漠然と感じてきた「戦後」の欺瞞を、白井は説得力のある、力強い筆致で解き明かし、多くの読者の共感を得たのに違いない。

欺瞞の綻び

 「戦後」の欺瞞とは、「敗戦」を「終戦」と呼び換えるという欺瞞に始まる。

 それは、朝鮮半島から満州、中国への侵略戦争における敗北を、単にアメリカにだけ負けたことにした欺瞞である。

 実際には敗戦時の革命の防止を意味した「国体」維持を、日本民族の存続と言い換えた欺瞞である。

 その「国体」維持も、アメリカの対アジア、対共産主義戦略の、極めて政治的な判断の結果であったことを、アメリカの「天皇への敬愛」によるとした欺瞞である。

 “敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる。かかる状況を私は、「永続敗戦」と呼ぶ”

 欺瞞は今日なお生き続けて ・・・続きを読む
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筆者

福嶋聡

福嶋聡(ふくしま・あきら) ジュンク堂書店難波店店長

1959年生まれ。京都大学文学部哲学科卒。1982年、ジュンク堂書店入社。サンパル店(神戸)、京都店、仙台店、池袋本店などを経て、現在、難波店店長。著書に『希望の書店論』(人文書院)、『劇場としての書店』(新評論)など。

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