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ベルリン映画祭リポート(下) 作品のカオス

“社会派”の個性は都合が良かった

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

ドキュメンタリーの存在感

 目を引きやすいスター監督によるフィクション作品がカンヌに流れがちな現在、その穴埋めにもなっていそうなのがドキュメンタリー作品ではないか。

 実際、近年ベルリンにおいては、ドキュメンタリーの存在感が相対的に増している。

 今年のコンペティション部門には金熊賞の『火の海』の他に、サイバー攻撃の実態に迫るアレックス・ギブニーの『ゼロ・デイズ』があった。

マイケル・ムーアの『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』は
日本で5月に公開©Dog Eat Dog Films
拡大マイケル・ムーアの『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』は日本で5月に公開 (c)Dog Eat Dog Films
 また今回はベルリン特別ガラとして上映された突撃隊長マイケル・ムーアの『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』もかなり評判で、会場は笑いの渦に包まれていた。

 思えば去年(2015年)もチリの名匠パトリシオ・グスマンの『真珠のボタン』が銀熊賞脚本賞を受賞していた。

 ジャファル・パナヒ監督の『タクシー』だって、ドキュフィクションと呼んでよい作品だった。ベルリンがかなりドキュメンタリー作品を映画祭の主役に据え始めたと考えて良さそうだ。

 このような傾向が生まれたのは、もはやドキュメンタリー作品でもコンペなどの重要部門に積極的に受け入れていかないと、映画祭の質が保証されないからではと邪推をしたくなる。 ・・・続きを読む
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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

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