メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

[10]「不育症」――低い認知度、少ない専門医

横田由美子 ジャーナリスト

「不妊」と「不育」の違い

 前回の原稿では、「不育症」で4回の流産をしたミカさんのケースをお伝えした。実はこの取材は、彼女からのメールを受け取って実現した。

 前述したように、不妊治療を受けている友人に、

 「妊娠するだけいいじゃない」

 と、言われたことから、もっと「不育症」について知って欲しいと考えたからだという。

 「彼女も辛かったとわかるから、私も言い返せなかった。苦しみは違っても、赤ちゃんを抱けないという意味では一緒のはずです」

 と言って、ミカさんは眉間に皺を寄せた。

 杉ウイメンズクリニック(神奈川県横浜市)の杉俊隆院長は、「不妊症の女性が不育症の女性にぶつける言葉として、非常によくあるケースだ」と、前置きした上で、次のように推測する。

「不育症学級」で治療について話す杉ウイメンズクリニックの杉俊隆院長。治療費を助成する自治体が増えている=15日、横浜市拡大「不育症学級」で話す杉ウイメンズクリニックの杉俊隆院長=2011年、横浜市
 「不妊の患者さんにとっては、『妊娠する』こと自体が、奇跡的なことに思えて、最大のハードルなのでしょう。だから、そのハードルを越えることのできる不育症の患者さんの方がゴールに近いと考えてしまうのではないか」

まだ研究段階の診療

 一般に、「不妊」は「妊娠しないこと」、「不育」は、流産や死産を繰り返すなど「妊娠はできるけれど、出産に至らないこと」と分類されている。

 おのおの「苦しみの深さ」に違いはないはずだが、決定的に異なるのは、不育は ・・・続きを読む
(残り:約2008文字/本文:約2597文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

横田由美子

横田由美子(よこた・ゆみこ) ジャーナリスト

1996年、青山学院大学卒。雑誌、新聞等で政界や官界をテーマにした記事を執筆、講演している。2009年4月~10年2月まで「ニュースの深層」サブキャスター。著書に『ヒラリーをさがせ!』(文春新書)、『官僚村生活白書』(新潮社)など。IT企業の代表取締役を経て、2015年2月、合同会社マグノリアを設立。代表社員に就任。女性のためのキャリアアップサイト「Mulan」を運営する。

横田由美子の新着記事

もっと見る