2016年04月27日
「不育症」という病気の壁は、社会的認知が低いことに加え、「診断の難しさ」にもあるだろう。
連載 不妊大国ニッポンのリアル [9]「不育症」――4回の流産ののちに……
連載 不妊大国ニッポンのリアル [10]「不育症」――低い認知度、少ない専門医
不育症とは、厚生労働省不育症研究班の提言によると、
「2回以上の流産、死産、または早期新生児死亡(生後1週間以内の赤ちゃんの死亡)がある場合」
と、定義されている。
また、一人目がいる場合でも、二人目、三人目が続けて流産や死産になった際は、「続発性不育症」として検査をし、治療することになっている。
通常なら2回流産すれば「不育症の検査」を勧められるはずなのだが、クリニックや医師によって診察のタイミングが異なるのが現状だ。
「不育症そだってねっと」を主宰する工藤智子さんが最初に流産したのは25歳の時だ。5週目で診察に行くと、「袋(胎のう)は見えているんだけど、赤ちゃんが見えないからもう1回来てください」と言われ、3週間後に「流産しています」と宣告された。
「次に診察に行ったら、赤ちゃんの心臓が止まっているんじゃないだろうか」「残念ですが、流産ですよ」
そう、言われてしまうのではないかと夢にまで見、日々憂鬱で仕方なかったという。
悪い予感は的中し、10週目で流産してしまう。当初、工藤さんは、その現実を受け入れることができなかった。
「最初の病院には嫌な記憶があったので、地元では老舗というか、少し古い産婦人科に行っていました。機材が古かったので、『誤診』ではないかと思いたくて、大きめの産婦人科にも足を運びました。でも、当たり前なんですが、『流産している』と診断された。
忘れられないことがあります。私が掻爬(そうは)手術を
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