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[12]不育外来と不妊クリニックを往復して

横田由美子 ジャーナリスト

 不育症に対する認知の低さは、ここ数回の記事の反応から、筆者も実感しているところだ。

 しかし、不妊治療に悩む女性には、不育の知識があった方が良いはずだ。なぜなら、不育症と不妊症との境目は実に曖昧だということが、ここ数年の研究などでわかってきたからだ。

受精卵の培養用シャーレ受精卵の培養用シャーレ
 不育専門外来などでは、不妊治療中の患者さんが訪れる姿が散見されるようになっている。いったいどんな患者さんたちが訪れているのか。

 「何度体外受精にトライしても全く着床しないという患者さんたちです。中には、『受精卵のグレードは最高レベルなのに、なぜ』と泣かれて、話ができない方もいらっしゃいます」

 と、不育の専門医は説明する。

「化学流産」とは?

 受精卵が着床しなければ、当たり前だが妊娠しない。それでなくとも、体外受精は採卵時の費用も含めて、そのたびにお金に羽が生えて飛んでいく。何度試みても着床しないことに疑問を感じた患者さんが、

 「フライングで検査したところ陽性になった例が何度かあった。いわゆる『化学流産』を繰り返しているのではないでしょうか」

 と言って、診察に来るというのだ。

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