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フランスでマタニティーマークは必要ない(上)

妊婦さんも「主張してなんぼ」のお国柄

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

 日本では近ごろ、妊婦さんが堂々と「マタニティーマーク」を付けにくい雰囲気があるという。

 筆者は2003年にフランスで出産、子育てをしているが、日本でこのような問題が浮上していたなんて、編集担当者から聞かれるまでついぞ知らなかった。

マタニティマーク.拡大日本のマタニティマーク
 日本人って妊婦さんにここまで冷たくできたっけ? もはや私の知ってる日本じゃないな、と軽いショックも受けた。

 マタニティーマークは今から10年前に厚労省の指揮下で誕生したようだが、そもそも日本人の心性にはあまり合っていない気もする。

 「私は妊婦なんです、だから気を遣って」と、下手するとある種の自己主張に見えかねない本マークは、付けていると周りから「図々しい」と反感を持たれやすいのかもしれない。妊婦さんだって、できれば内心は付けたくない人も多いらしい。

 しかしマークを付ける恥ずかしさを乗り越えても、今度は周囲から意地悪される可能性があるというのだから、なんとも気の毒というか、妊婦さんにとっては二重苦ではないか。

 さてフランスであるが、筆者はマタニティーマークを付けた妊婦さんを街で見かけたことは一度もない。日本のように公的機関が作って配布しているという話も聞かないし、そもそも必要がないと思われるのだ。

 ちなみにお隣のイギリスには、一応存在する。イギリスの地下鉄がマタニティバッジを作り、希望者に配布しているのだ。

ロンドン交通局の公式サイト拡大ロンドン交通局の公式サイトから申し込める「マタニティマーク」(左)
 キャサリン妃が妊娠していた時に、バッジをロンドン地下鉄から贈られたとメディアで報道されていたので、知っている人もいるかもしれない。

 でも「キャサリン妃の場合、そもそも地下鉄なんて乗らない気がするが……」と突っ込みたくもなったが、まあ良い広告塔にはなるのだろう。

 今も一応、ロンドン交通局の公式サイトから申し込めばもらえるようだ。

直接のコミュニケーションとお節介マダム

 私自身は13年前の冬、妊婦だったが、臨月に近づいても周りからはただのデブと思われたのか、地下鉄で声をかけられ、席を譲ってもらった記憶がない。

 だが耐えられずに、何度か自分から「席を譲ってほしい」と近くにいた人にお願いしたことがある。 ・・・続きを読む
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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

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