「テレビを捨てよ、街へ出よう」と促すエンターテインメントの時代
2016年08月04日
世界的に大きな話題を呼んでいるスマートフォン用ゲーム『ポケモンGO(Pokémon GO)』。日本でも、2016年7月22日に配信・サービスが始まった。
そのフィーバーぶりは、テレビのニュース番組や情報番組などでも連日伝えられた。
そうしたなか波紋を呼んだのが、ラジオ番組『MBSヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)の2016年7月23日放送回での明石家さんまの発言である。
共演する女性芸能人が『ポケモンGO』の話題で盛り上がる様子を見て、「テレビ界で生きてきた人間として、『ポケモンGO』を今日から敵と見なす」と語り、自分は「絶対にやらない」と宣言したのである。
その同じ日に放送された恒例のフジテレビ「27時間テレビ」の生放送のなかでも、さんまは自分からこの話題を持ち出した。
「テレビがなあ、いま面白なけりゃあかんねん。ポケモンモンスター(発言ママ)とか出てきてやなー、テレビに出ている人間からするとやな、あそこに負けたくないねん」
ここで興味深いのは、さんまが「面白いもの」、すなわちエンターテインメントという観点から『ポケモンGO』を「テレビの敵」ととらえていることだ。
当たり前と言えば当たり前のようにも思えるが、報道のされ方などを見ていると、テレビの側は必ずしもそうとらえてはいない節がある。
テレビの報道において焦点が当てられるのは、レアなポケモンがいるという情報が広まった場所に詰めかける群衆の姿であり、ゲームに夢中なプレイヤーが引き起こす事故などのトラブル、そして「歩きスマホ」などのマナー問題である。
すなわち、今回のことも、これまで数多くあった流行現象と変わりないものとみなされ、テレビにとってはどこか対岸の火事であるかのような扱いであった。
それに比べ、ネタ的な側面も当然あるとは言え、さんまの発した「テレビの敵」というストレートな表現には、なにか私の心に刺さるものがあったのだ。
では、本当に『ポケモンGO』はエンターテインメントとして「テレビの敵」なのか?
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