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『ポケモンGO』は「テレビの敵」か?

「テレビを捨てよ、街へ出よう」と促すエンターテインメントの時代

太田省一 社会学者

明石家さんまの「宣言」

 世界的に大きな話題を呼んでいるスマートフォン用ゲーム『ポケモンGO(Pokémon GO)』。日本でも、2016年7月22日に配信・サービスが始まった。

スマホ片手に扇町公園に集まった人たち=29日午後8時12分、大阪市北区拡大夜でもスマホ片手に……=大阪市北区の扇町公園(写真は一部加工)
 位置情報測定やAR(拡張現実)などの技術を使って、現実に存在する場所に潜むポケモンの捕獲、収集などをするこのゲーム、すでに公園や観光地などにポケモン目当てで多くの人が訪れる現象が起きている。

 そのフィーバーぶりは、テレビのニュース番組や情報番組などでも連日伝えられた。

 そうしたなか波紋を呼んだのが、ラジオ番組『MBSヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)の2016年7月23日放送回での明石家さんまの発言である。

 共演する女性芸能人が『ポケモンGO』の話題で盛り上がる様子を見て、「テレビ界で生きてきた人間として、『ポケモンGO』を今日から敵と見なす」と語り、自分は「絶対にやらない」と宣言したのである。

 その同じ日に放送された恒例のフジテレビ「27時間テレビ」の生放送のなかでも、さんまは自分からこの話題を持ち出した。

 「テレビがなあ、いま面白なけりゃあかんねん。ポケモンモンスター(発言ママ)とか出てきてやなー、テレビに出ている人間からするとやな、あそこに負けたくないねん」

 ここで興味深いのは、さんまが「面白いもの」、すなわちエンターテインメントという観点から『ポケモンGO』を「テレビの敵」ととらえていることだ。

 当たり前と言えば当たり前のようにも思えるが、報道のされ方などを見ていると、テレビの側は必ずしもそうとらえてはいない節がある。

 テレビの報道において焦点が当てられるのは、レアなポケモンがいるという情報が広まった場所に詰めかける群衆の姿であり、ゲームに夢中なプレイヤーが引き起こす事故などのトラブル、そして「歩きスマホ」などのマナー問題である。

 すなわち、今回のことも、これまで数多くあった流行現象と変わりないものとみなされ、テレビにとってはどこか対岸の火事であるかのような扱いであった。

 それに比べ、ネタ的な側面も当然あるとは言え、さんまの発した「テレビの敵」というストレートな表現には、なにか私の心に刺さるものがあったのだ。

「ドラゴンクエスト」との違い

 では、本当に『ポケモンGO』はエンターテインメントとして「テレビの敵」なのか?  ・・・続きを読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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