2016年09月14日
痴漢問題の連載第2回目の今回は、痴漢がいかに社会の課題として扱われていないかについて見て行きたいと思います。
第1回でも触れましたが、痴漢の被害を訴えても「女として見られたってことじゃん!」と、犯罪に遭うことが名誉であるように捉える人は少なくありません。
高畑裕太逮捕で噴出する6つのセカンドレイプ――性暴力について何を言ったらいけないのか?
ですが、たとえば強盗に遭った被害者に対して、「お金持ちって見られたってことじゃん!」「それ、自分がお金持ちという自慢?」と返答するでしょうか?
また、以前、クイズバラエティー番組「ネプリーグ」で痴漢被害の遭遇者率をクイズにしたことで炎上したことがありましたが、「暴行事件の被害遭遇者率」や「振り込め詐欺の被害遭遇者率」をクイズにするでしょうか? 痴漢という犯罪を娯楽のネタとしてしまうことは、意識の低さを如実に物語っていると言えるでしょう。
さらに、裁判所までもが「(14歳の女子に対する痴漢行為の)悪質性は比較的低い」と判決で言い渡した事例(2015年12月)もあります。これは痴漢行為をして解雇された男性駅員が不当解雇だとして東京メトロを逆に訴えた事例ですが、東京メトロ人事部の判断をあろうことか東京地裁が覆してしまう判決となりました。高裁や最高裁で判決が覆ることを祈るばかりです。
痴漢そのものが社会悪だという認識が社会に全然広がっていないと感じる点は他にいくつもあります。その代表は、痴漢で男性が捕まることに対して、「そんな(しょうもない)ことで人生を棒に振るなんて情けない」と表現されることです。
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