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[7]東京五輪までに「痴漢ゼロ都市」の実現を

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 これまで6回にわたり、痴漢の問題について様々な視点から分析と提案をしてきました。ただし、これでもまだ論じて切れていないことも多くあり、痴漢問題が本当に日本社会に根付いた深い社会的課題であることを痛感しています。

連載 最も身近な犯罪「痴漢」はなぜなくならないのか?

 この連載では痴漢に絞って話をしてきましたが、電車の中は痴漢に限らず、女性にとっては「無法地帯」であることが少なくありません。

 たとえば、「ベビーカーは邪魔だから折りたたむべきだ」という主張をする人がいます。国土交通省も「ベビーカーを折りたたむ必要はありません」という通達を出してはいるものの、いまだに折りたたまないことで親(特に母親)を批判する声は少なくありません。

 マタニティーマークを付けた妊婦に対するいやがらせ問題も同様です。「なぜ妊婦を優遇するのか?」という意見が次第に大きくなり、妊婦がお腹を蹴られる、暴言を吐かれるなどの行為も発生しています。それゆえ妊婦がマークをつけることを自粛し始めて、マークの使用率が低下しているのです。

マタニティーマークがなぜ攻撃されるのか?(WEBRONZA)

 このような状況で果たして安心して子供を産めるのでしょうか? 産みやすい社会を本気で考えるならば、このような問題にも厳格に対処していくべきでしょう。

自己責任論の台頭

 このように痴漢の問題に限らず、女性に対する理不尽な様々な暴力がまかり通っている現状を見ると、何としても改善しなければならないと思うのですが、近年その足を引っ張っているのが自己責任論の台頭です。

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