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相島一之、主役になるのは音楽

ミュージカル『フランケンシュタイン』出演

真名子陽子


拡大ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演する相島一之=安田新之助撮影

 2017年1月から2月にかけて、ミュージカル『フランケンシュタイン』が上演される。韓国発のオリジナルミュージカルで、ロングランヒットを記録したグランドミュージカル。人類の“生命創造”への飽くなき探求と“愛と友情”をテーマにした本作。メインキャストが二役を演じることでも話題だ。そのメインキャストのひとりで、厳格な父・ステファンとギャンブル闘技場に出入りする守銭奴のフェルナンドを演じる相島一之の取材会が大阪で行われた。この作品への意気込みを、時に立ち上がりながら話してくれた相島と記者のやり取りを紹介しよう。

記者:制作発表で初めて尽くしだと、共演する方々も初めてで、本格的ミュージカルも、日生劇場も初めてとおっしゃっていました。お稽古が少し始まった段階と聞いていますが、その様子はいかがですか?

相島:共演者がとっても素敵です。それに関しては、他に言うことはないですね。とても面白いです。今回の『フランケンシュタイン』という話は、台本を読むと救いのない話なんです。これで終わっちゃうの?と。でも、演出の板垣(恭一)さんとは、本当に救いのない話なのか、それでいいのかな、という話をしています。それを補うのが俳優だったりするんです。舞台の上で立っている人間が、それをどう抱えるか、自分はどう感じるか、何を大事に思うか……それで、その物語は揺れるんだと思うんです。おそらく、こういう芝居って登場人物=役者たちに、それがかかってくる気がします。しかも、それをWキャストで、4パターンで見せるというのが素晴らしいですよね。歌も踊りも、立ち位置だってそんなに変わらないだろうけど、おそらく「今日のビクター・フランケンシュタイン」、「今日のアンリ・デュプレ」という風に変わってくる気がする。それが楽しみですよね。

記者:役者によって観客の受け取り方も変わってくるだろうと。

相島:そう思います。それがWキャストの面白さですよね。こういうのは今まで経験したことがないので、それが楽しみです。コメディのミュージカルには出ていましたが、こういったミュージカルは初めてなんです。板垣さんとたくさん話をさせていただいて、僕が今回の芝居の中でできること、それを探していく感じです。ミュージカルって、大きい塊がバーンとあって、それが連続していく。でも普通のお芝居は何にもないところから始まって、それがチョロチョロって動く。これを2時間続けてお客さまに見せていく。今回はそうではなく、凝縮されるんです。「悲しい」ってことを伝えるために、お芝居だとそれをとことん丁寧にゆっくり伝えるのを、ミュージカルでは瞬間で伝えてしまう。わかっていただけるとうれしいな(笑)。でも、瞬間なんだけれど、本当は段階=ブリッジがあって、そこにかかっていくものが演劇=お芝居なんだと思うんです。ミュージカルの中でそういうことを探っていくのが非常に面白いです。

拡大ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演する相島一之=安田新之助撮影

異次元、異空間を確実に創ってくれます

記者:相島さんが今回演じる役が二役ありますが、そういう意味で自分にできることは何か、今の段階でどんなことを感じていますか?

相島:楽しむことなんだろうなと思います。三谷幸喜が昔言っていたことですが、「お芝居でお客さんを楽しませるということは、まずは自分が楽しむこと。それによって相手を楽しませること」、それがお客さんを楽しませることなんだと。今回みたいな作品は、そういうことが如実に出るんじゃないかなと思っています。緻密なストレートプレイのように台本がきっちり書かれていて、その台本の中でその登場人物たちの細かい心のヒダみたいなものや、息遣いをお客さんに渡しながら……という芝居と全く違う。そうではなく、バーンと出てくるものをいかに伝えるか、それに対する説得力。その説得力って一体なにかっていうと、私が楽しんでいるってことなんじゃないかと。そうすると僕が楽しめる父親像、僕が楽しめる悪役。父親は厳格である社会的な規範を持った人だけど、悪役の方は、規範ありませんから。普通のお芝居だったら「相島さんやりすぎだからやめてください」って言われるようなことが可能になってくる。

記者:父親から悪役にどうつながっていくかというのが本当に楽しみですね。

相島:そして、そこで主役になるのは音楽。台本を読んだだけじゃわかんないです。音楽が入ると「なるほどね」と。血が通って、肉がついて、立ち上がってくる感じがするんです。音楽が入ったら別なものに変わる。もうマジックですよね。そしてオーケストラが入って、大きい劇場で上演する。これは見ものだと思うんです。舞台美術も面白いですし、そこに照明という武器が入って、まさに異次元、異空間を確実に創ってくれます。不思議な世界になります。それはすごいなって。まさにミュージカルの醍醐味です。

記者:音楽は全編にわたって流れているんですか?

相島:100%じゃないですけど、結構、鳴ってます。音楽が主役と言っても間違いではない。物語を背負っている音楽ですね。ちゃんとストーリーがあってわかりやすくて、いいですね! 音楽が語る要素が多い舞台だと思います。

記者:相島さんの役は歌ったり……。

相島:歌ったりもしますけど、そんなに多くはないかな(大笑)

記者:それは残念な笑いでしょうか?

相島:(笑)そうですね、ホっとしている部分と、残念な部分と。ちゃんと修行しないといけないな、と一生懸命がんばっております。

最大の見どころは、イケメン4人が歌い、4パターンあるというところ

拡大ミュージカル『フランケンシュタイン』に出演する相島一之=安田新之助撮影
記者:共演者の方の歌を聞かれてどうですか?

相島:皆さんすごいです。本当に素敵だなと思います。歌にのせて心情を語っていくことって、ミュージカルの醍醐味で、そういうのは経験がないですから。歌で、喜び、苦しみ、悲しみを歌う。それが本当に素晴らしいです。今まで僕がやっていたお芝居とちょっとだけアプローチの仕方が違う。でも、全く違うかっていうとそうではなく、これは間違いなく一つの演劇です。演劇的なアプローチの仕方は、実はいろいろあるんですよね。

記者:『フランケンシュタイン』は、皆さんよく知っている題材ですけど、オリジナル作品の本作の面白さというのは?

相島:『フランケンシュタイン』という物語って、実はよく知らなくて、わかりやすいのは『怪物くん』になるじゃないですか。でも、本当のお話っていうのは、ビクター・フランケンシュタイン博士が、死んだ人間を生き返らせて創った怪物との葛藤の話、それはすごく新鮮だと思います。こいいう話だったのか、と。今の世の中は、医学や化学がすごく進化していて、細胞からクローンを生み出す。そこと死んだ人間を生き返らせるということがリンクしてくると思うんです。行き着く先の物語はこうなんだと、いろんなことが見えると思うんです。でも、この物語の最大の見どころは、イケメン4人が歌い、それが4パターンあるという。これはちょっと面白い!

記者:演出の板垣さんとはいろいろとディスカッションをしながら?

相島:やっています。結構いろんなことを求めてくる方ですし、今回のテーマは「韓国版に勝つ!」(笑)。韓国の方たちがこれを観たときに、日本も面白いね、って言ってもらえるようにしたいです。音楽が入るとビックリするくらい立ち上がってくるから。作品に入ると何かが見えてくると思うんです。

記者:まったく違うキャラクターの二役を演じることについて、板垣さんはどんな意図で捉えていらっしゃるんでしょうか。

相島:役者としては面白い試みで、それ自体がこの芝居をハジケさせるところなんだと思います。そこを楽しんでいる役者の何かが見えるのではないかな。それはお客さまに良い波動、このお芝居自体の持っている力、おそらくそういったパワーを、考えていらっしゃるんじゃないのかなと思いますね。

記者:相島さんの役も、厳格な父と、ギャンブルの出入りする悪党という、正反対のキャラですよね。

相島:そうですね。どこまでやっていいかを決めるのは演出家の判断次第ですけど、チャレンジはできる。歩き方とかなんでもできるんですよ。何をやってもNOと言われない。今回はそれをどうぞやってくださいという感じでしょうか。まだ、どうなるか分からないですけど。

記者:最後にメッセージを。

相島:ほんとに面白いと思います。「あっ、こういう話がオリジナルにはあったんだ」と。でもそれをちょっと変えて、むちゃくちゃ歌のうまい人たちが歌いあげる。そして、死んだ人間を生き返らせるけれど、それは現実になり得るんだ、そういったいろんな要素が盛りだくさんです。楽曲がいいですし、いろんなことを考えるんじゃないかなと思います。ぜひ、劇場に遊びにきてください。

◆公演情報◆
ミュージカル「フランケンシュタイン」
2017年1月8日(日)~29日(日) 東京・日生劇場
2017年2月2日(木)~5日(日) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
2017年2月10日(金)~12日(日) 福岡・キャナルシティ劇場
2017年2月17日(金)~18日(土) 愛知・愛知県芸術劇場大ホール
[スタッフ]
潤色/演出:板垣恭一
訳詞:森雪之丞
音楽監督:島 健
[出演]
中川晃教/柿澤勇人(Wキャスト)、加藤和樹/小西遼生(Wキャスト)、音月桂、鈴木壮麻、相島一之、濱田めぐみ ほか
公式ホームページ

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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