メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

歴代キャストそろい、懐かしさと感動が蘇る

『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』公演評

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』公演から=岸 隆子(Studio Elenish)撮影

 『エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』が、昨年の12月9日~18日、梅田芸術劇場メインホールで上演されました(1月8日~20日、Bunkamuraオーチャードホール)。1992年にウィーンで生まれたミュージカル『エリザベート』は、1996年に宝塚で初上演され、2016年に20周年を迎えました。9回に渡る上演は毎回大盛況、今や宝塚の財産ともなったこの作品の魅力は、ひとえに全編をつづる楽曲の素晴らしさに尽きるでしょう。そのため、過去に2度上演されたOGによるガラ・コンサートも、本公演に負けない重厚さで大好評を博してきました。

 このたびの20周年を記念するスペシャル版では、歴代キャストが勢ぞろいし、時代や組を超えての豪華な組み合わせも実現。当時の懐かしさと、新たな感動が同時に体感できるビッグイベントとなりました。今回は、1998年に宙組でトートを演じた姿月あさとさん中心のフルコスチュームバージョンをご紹介します。

現役さながらの湖月にタイムスリップ気分

 大阪公演では、初演の雪組メンバーがトークと歌唱を披露するモニュメントバージョンを皮切りに、衣装とメイクも再現したフルコスチュームバージョン、様々な世代の出演者を織り交ぜたアニヴァーサリーバージョンと続く3パターンが上演されました。オーケストラの左右と真ん中に通路があり、傾斜がつけられているシンプルな舞台で、照明や登場の仕方などに演出はあるものの、ほぼ歌唱のみの勝負です。

 フルコスチュームバージョンの先陣を切るのは、1998年の宙組版。細く長く響くバイオリンの旋律とともに飛び出してきたのは、ルキーニ役の湖月わたるさんです。本公演さながらの演技と歌声、なによりそのルックスが当時とまったく変わらなくて、思わず目を疑ったほど。18年の歳月はどこへやら、まるでタイムスリップしたような気分になってしまいました。現役生並みに男役テイスト全開で、お客様を一瞬で笑顔にしてしまう陽性なキャラクターも健在で嬉しくなります。

 ルキーニに召喚され、霊廟へと集まった人々が重厚なコーラスを劇場いっぱいに響かせると、そこはもうすっかりエリザベートの世界。出演者は皆、メイクと衣装を身に着け、演技もほぼ再現しているので、黒天使や舞台装置はなくても、本公演を見ている感覚とほとんど変わりません。

重低音に渋みが加わった最強トート・姿月

拡大『エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』公演から=岸 隆子(Studio Elenish)撮影

 トート閣下として蘇(よみがえ)った姿月さんは、紫まじりの髪や数ある衣装が当時と同じで、懐かしさに胸を震わせたお客様も少なくないでしょう。歌声にはハスキーさとブルースのような切ない響きも加わり、その変化にまず引き込まれました。現役時代は若いエネルギーに満ちた強く激しいトートでしたが、今はベースに渋みが加わった分、黄泉(よみ)の帝王らしい神秘的な雰囲気がさらに深まったよう。『最後のダンス』では、後半に向けてのドラマチックな盛り上げが圧巻で、これぞ姿月さんの真骨頂。劇場を支配する重低音とシャウトに、思わずスタンディングしたくなるほどの興奮を覚えました。ほかにも『ミルク』のシーンで民衆を煽る怒りから、『愛と死の輪舞』でのエリザベートを求める苦しみまでを緩急自在に操り、歌手としてのキャリアが役に深みを与えています。まさに最強トート参上!と言いたくなるほど、貫禄もたっぷりでした。

・・・続きを読む
(残り:約1808文字/本文:約3213文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

さかせがわ猫丸の新着記事

もっと見る