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[14]遺産相続のために卵子をほしがった男

横田由美子 ジャーナリスト

時代の潮流に乗った“結婚詐欺”?

 「私が経験したのは結局、時代の潮流に乗った新手の“結婚詐欺”だったのではないかと思うんです」

 と、リナさん(仮名=42)は淡々と語り始めた。

 結婚詐欺とは、結婚する意思がないにもかかわらず、「結婚しよう」と言って異性に近づき、金品をだまし取ることを指している。リナさんは、次のように言う。

 「私の場合、その男は直接的には“私の卵子”が目的でした。しかし、最終的にはその卵子を使い、遺産相続という形でお金を得ることを企んでいたんです」

 簡単に経緯を説明する。

 リナさんには、5歳年下の事実婚の夫がいた。結婚式も挙げ、子どもをつくろうと不妊治療の相談も始めた。人工授精を何度か行ったが結果は出なかった。

 「子どもは、授かりものだからもうやめない?」

 リナさんはそれほど子どもを持つことに執着がなかったため、そう夫に伝えた。すると夫は、「それは出来ない」と頑なに言う。そして話し合っているうちに、生まれた子どもは知的障害のある妹の養子にしたいと言い始めたのだ。しかも、日本での不妊治療はやめ、米国で代理母を使い、日本では禁止されている男女産み分けをして“女の子”をつくるという。

 あまりに荒唐無稽な内容に、当初リナさんは「真面目な話」として受け止めていなかった。そもそも、日本でも体外・顕微授精はできる。だが、人工授精と異なり、日本では“籍の入った夫婦”でなければ禁止されている。

 すると夫は、“前妻”との間に男の子がいると明かした。初耳だった。そして、「男の子はすでにいるからどうしても女の子がほしい、遺産の関係からも妹の養子にしなければいけない」

 と、意味不明な説明をくり返すばかりだった。

医療技術の死角と遺産相続問題

 夫は、 ・・・続きを読む
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筆者

横田由美子

横田由美子(よこた・ゆみこ) ジャーナリスト

1996年、青山学院大学卒。雑誌、新聞等で政界や官界をテーマにした記事を執筆、講演している。2009年4月~10年2月まで「ニュースの深層」サブキャスター。著書に『ヒラリーをさがせ!』(文春新書)、『官僚村生活白書』(新潮社)など。IT企業の代表取締役を経て、2015年2月、合同会社マグノリアを設立。代表社員に就任。女性のためのキャリアアップサイト「Mulan」を運営する。

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