「無条件枠」という「個人」の枠でドラマ見つけてます
2017年03月03日
今期、我がイチオシドラマは、火曜午後10時、TBS系の「カルテット」。椎名林檎の作詞作曲の主題歌は、1番手の松たか子が色っぽくこう締めくくる。「オトナは、秘密を、ま・も・る」。
ケネディ前米駐日大使までがダンスを踊った「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」の後番組だが、視聴率は前作から打って変わって、ずっと一桁。世間のみなさ――ん、もっと見てくださ――い。
ふるわない理由は、なんとなくわかる。「逃げ恥」のわかりやすいキュートさに欠ける。満島ひかりが松たか子に続く女子2番手で十分にキュートなのだが、「キュート!」より先に「うまい!」と思わせる。「芝居をじっくり見てください」オーラが出ている。「みぞみぞする」という独特な表現をするのだが、これもキュートでなく意味深に聞こえる。
ガッキーこと新垣結衣は明るかった。「さーて、今週のみくりさんはー」と言うと可愛かった。それに比べると、重い。そんなガッキーが本音を語り、そこに今日性があった。要所要所に笑いが交じり、ビール片手に楽しく見られた「逃げ恥」に対し、「カルテット」はアルコール分が高まると、筋が追えない可能性さえはらんでいる。
この差が視聴率にあらわれるのはしょうがないとして、ここで今回のテーマである「月9」である。フジテレビ系列の月曜午後9時。このところ絶不調だそうだ。
私、56歳。上質を求め、秘密をま・も・るオトナである。「逃げ恥」のような、または「カルテット」のようなウエルメイドのドラマを求め、日に日にテレビ欄を見つめ、BSなどにもウイングを伸ばし、出勤前には録画もれがないよう指差し確認。「ドラマ、バッチコーイ」で待っているのであるが、21世紀に入り私が見た月9は木村拓哉の「HERO」だけだ。
「楽しくなければテレビじゃない」というフジテレビのキャッチフレーズは、私の頭の中では、ジュリアナで扇子を振っているボディコン女性とセットだ。
亀山千広、大多亮というバブル期にブイブイ言わせていた(という表現もバブル的だが)フジの2大ドラマプロデューサーが亀山社長、大多常務としてフジ再建に取り組んでも、さっぱり成果が出ない。
ところで今を去ること23年前、1994年はまだ日本にバブルの残滓があった。私はある週刊誌の若手(!)編集部員として働いており、あるときドラマの記事を担当した。
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