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「月9」の退潮に見る「組織」の時代の終焉

「無条件枠」という「個人」の枠でドラマ見つけてます

矢部万紀子 コラムニスト

カルテット拡大「カルテット」(TBS系)

ウエルメイドな「カルテット」

 今期、我がイチオシドラマは、火曜午後10時、TBS系の「カルテット」。椎名林檎の作詞作曲の主題歌は、1番手の松たか子が色っぽくこう締めくくる。「オトナは、秘密を、ま・も・る」。

 ケネディ前米駐日大使までがダンスを踊った「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」の後番組だが、視聴率は前作から打って変わって、ずっと一桁。世間のみなさ――ん、もっと見てくださ――い。

 ふるわない理由は、なんとなくわかる。「逃げ恥」のわかりやすいキュートさに欠ける。満島ひかりが松たか子に続く女子2番手で十分にキュートなのだが、「キュート!」より先に「うまい!」と思わせる。「芝居をじっくり見てください」オーラが出ている。「みぞみぞする」という独特な表現をするのだが、これもキュートでなく意味深に聞こえる。

 ガッキーこと新垣結衣は明るかった。「さーて、今週のみくりさんはー」と言うと可愛かった。それに比べると、重い。そんなガッキーが本音を語り、そこに今日性があった。要所要所に笑いが交じり、ビール片手に楽しく見られた「逃げ恥」に対し、「カルテット」はアルコール分が高まると、筋が追えない可能性さえはらんでいる。

 この差が視聴率にあらわれるのはしょうがないとして、ここで今回のテーマである「月9」である。フジテレビ系列の月曜午後9時。このところ絶不調だそうだ。

 私、56歳。上質を求め、秘密をま・も・るオトナである。「逃げ恥」のような、または「カルテット」のようなウエルメイドのドラマを求め、日に日にテレビ欄を見つめ、BSなどにもウイングを伸ばし、出勤前には録画もれがないよう指差し確認。「ドラマ、バッチコーイ」で待っているのであるが、21世紀に入り私が見た月9は木村拓哉の「HERO」だけだ。

東京ラブストーリー特別編」の音入れ作業をするフジテレビの大多亮プロデューサー 1993拡大フジテレビがブイブイしていたころの大多亮プロデューサー(当時)=1993年
 どうしたんだ、月9。フジテレビの退潮は月9の退潮と歩を合わせているに違いない。

 「楽しくなければテレビじゃない」というフジテレビのキャッチフレーズは、私の頭の中では、ジュリアナで扇子を振っているボディコン女性とセットだ。

 亀山千広、大多亮というバブル期にブイブイ言わせていた(という表現もバブル的だが)フジの2大ドラマプロデューサーが亀山社長、大多常務としてフジ再建に取り組んでも、さっぱり成果が出ない。

「勝ち」が「勝ち」を呼んだフジテレビの時代

 ところで今を去ること23年前、1994年はまだ日本にバブルの残滓があった。私はある週刊誌の若手(!)編集部員として働いており、あるときドラマの記事を担当した。 ・・・続きを読む
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筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長。

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