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【ヅカナビ】羽ばたけ!タカラジェンヌの雛鳥たち

清々しさに胸打たれる、宝塚音楽学校 第103期生文化祭

中本千晶


 タカラヅカに「運動会」があることは100周年の年に有名になったが、じつは「文化祭」もある。といってもこちらは10年に1度ではなく毎年1回行われる、宝塚音楽学校の卒業公演的な意味合いの催しだ。今年は2月25日(土)、26日(日)の2日間4公演、宝塚バウホールにて開催された。

 基本的には宝塚音楽学校での学びの成果を披露する場なので、客席で見守るのは父兄や関係者らが中心だ。わずかに一般発売されるチケットを運良く入手できたので張り切って観に行くことにした。しかも今年は12時の部と16時半の部のダブル観劇が叶った。第2部の演劇をA組B組で分かれてやるため、両方観ないとすべてを網羅したことにはならないのだ。

 歌、演劇、ダンスの3部構成による2時間45分。今日お目見えする103期生の中にもきっと「スターの卵」がいるのだろうと思うとワクワクする。さて、今年はどのような発見があるのだろうか?

「歌える男役」「踊れる娘役」の103期

 第1部は恒例、緑の袴姿での日本舞踊『清く正しく美しく』で清々しく始まる。背景には小林一三翁の「清く正しく美しく」という一筆が掲げられ、ああ文化祭が始まったのだなと実感する。予科生による合唱を挟んで、オペラの名曲を披露するクラシック・ヴォーカル、タカラヅカの名曲を歌い継ぐポピュラー・ヴォーカルと続く。ポピュラー・ヴォーカルは『タカラヅカ・グローリー』で始まり、締めは『この愛よ永遠に(TAKARAZUKA FOREVER)』だ。

 第2部の演劇は正塚晴彦の作・演出による『A MONOLOGUE Vol.Ⅲ』。中世ヨーロッパの貴族社会を描いたお芝居の稽古をしている役者たちが、いつしかお芝居そのものの世界に入り込んでしまうというユニークな趣向だ。衣装も煌びやかな軍服やドレスではなく稽古着風で、見かけの豪華さに頼ることができない分、芝居心が求められる。セリフの一言一言にも正塚作品らしいさりげない見せ場が仕込まれていて、これは勉強になりそうだ。

 第3部のダンス・コンサートは構成が羽山紀代美と三木章雄、演出が三木章雄。バレエ、モダンバレエからジャズダンス、タップダンスなど様々なジャンルのダンスを見せる。宝塚大劇場でのショーのように派手な衣装ではなく、センターで踊る人だけにスパンコールが付いているわけでもない、群舞でシンプルに見せるものが中心だ。

 歌の得意な人の聴かせどころになる第1部のクラシック・ヴォーカルが、今年は2人とも男役だった。いっぽう第3部では総じて娘役がセンター前列のポジションを占める場面が多く、娘役にダンス上手が多い印象だった。

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筆者

中本千晶

中本千晶(なかもと・ちあき) 演劇ジャーナリスト

山口県出身。東京大学法学部卒業後、株式会社リクルート勤務を経て独立。ミュージカル・2.5次元から古典芸能まで広く目を向け、舞台芸術の「今」をウォッチ。とくに宝塚歌劇に深い関心を寄せ、独自の視点で分析し続けている。主著に『なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか』『タカラヅカ流世界史』『宝塚歌劇は「愛」をどう描いてきたか』『宝塚歌劇に誘(いざな)う7つの扉』(東京堂出版)など。早稲田大学非常勤講師、NHK文化センター講師。

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