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『レ・ミゼラブル』出演、福井晶一(上)

ジャン・バルジャン役、今までの経験をそぎ落とし、一から挑みたい

米満ゆうこ フリーライター


拡大ミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演する福井晶一=岸隆子撮影

 1987年の日本初演以来、今年で上演30周年を迎える人気ミュージカル『レ・ミゼラブル』。2013年には演出や舞台装置、照明などを一新した〝新演出版〟が登場。その年から、主役のジャン・バルジャンをトリプルキャストで演じているのは、張りのあるなめらかな歌声で観客を惹きつける俳優・福井晶一だ。福井は1995年から劇団四季に在籍し、『キャッツ』『アイーダ』『美女と野獣』など数々の作品に主演。退団後はミュージカルを中心に活動するほか、ソロコンサートも開いている。その福井に、『レ・ミゼラブル』をはじめ、デビュー20周年を記念して今年3月に発売したアルバム『Blessings―いつもそばに―』、昨年出演したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』などについて語ってもらった。

今回もまたやりたいという気持ちが沸々と

――2013年、2015年に続いて、今回、ジャン・バルジャンを演じられるのは3回目ですね。

 2013年にアキレス腱を切って、2015年は一年間休養した後の復帰、今年は何も起こらないことを祈るばかりです(笑)。

――2013年はバルジャンとジャベールの二役を務められました。

 ケガをしたので、最後まで足にギプスをつけて固定した状態で舞台に立っていました。ケアが必要なため、動きも制限されてしまう。100%パフォーマンスに集中できるかといえば、そうではない。そういった状況の中ではベストを尽くしましたが、いろんな意味で二役を演じるのは大変でしたね。

――『レ・ミゼラブル』(以下『レ・ミゼ』)は毎回、キャストのオーディションがあります。厳しいオーディションだとうかがっていますが。

 いつも大変ですよ。バルジャンのナンバーを歌って、日本とロンドンのスタッフに判断してもらうという方法です。さらに、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュが日本で録画したオーディションの映像をロンドンで見て選考します。

――受ける側としては、今年で最後かも知れないという思いなのでしょうか。

 2015年の公演が終わった時点で、これが最後かもしれないと思っていました。でも、今回もまたやりたいという気持ちが沸々とわいてきましたね。

拡大ミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演する福井晶一=岸隆子撮影
――今年は、どのようにバルジャン役を演じたいと思われますか。

 今回は今までやってきたことをなぞらずに、積み上げてきた経験をそぎ落としていくような作業になればと思っています。2015年はパフォーマンスに集中できて、自分の中でやりきった感があったんですけれど、それを忘れて、一からやり直すつもりで挑みたいですね。

――『レ・ミゼ』で、ファンテーヌ役の知念里奈さんは、以前、取材で「バルジャンが理想の男性」だとおっしゃっていました。男性からみてはいかがでしょう(笑)。

 うーーん、どうですかね。そもそも罪人ですからね(笑)。それが理想の男性なのかと言われると、平穏なほうがいいと思いますけどね。人生が激動的すぎませんか(笑)。

――そうですね。

 時代背景や、貧困、飢えが積み重なってそうなってしまった。もし、バルジャンが現代に生きていたら、気の優しい力持ちの普通のオジサンだったのではないかと思います。時代が彼を激動の人生へと歩ませた。パン一つ盗んだことから19年も牢屋に入れられてしまうんですから。

――さまざまな艱難辛苦の後、バルジャンはコゼットをマリウスに託して死んでいきます。私は見ていて、「もうちょっと現世で幸せな時間を過ごしてほしかった」と切なく、ちょっとやり切れない思いもありました。

 僕は、それが使命を全うしたことだと思っています。マリウスにコゼットを完全に託せた。自分の使命を果たしたからこそ、司教のもとへ帰っていく。そこには何の迷いもない。真実をコゼットに伝えずに、自分一人で死んでいこうとしていましたが、マリウスに連れられてコゼットが来てくれる。コゼットに会えず、一人で亡くなっていたら切ないなと思いますけれど、あそこでコゼットに再会できて天に召されるから良かったなと思います。

――そこでやっと幸せになれた。浄化されるような感じでしょうか。

 そうですね。やっと、司教のもとに行ける。司教から教わったことを全うして、彼に会いに行ける。最後もそういう思いで演じていますね。

◆公演情報◆
ミュージカル『レ・ミゼラブル』
2017年5月25日(木)~2017年7月17日(月・祝) 東京・帝国劇場
〈プレビュー公演〉5月21日(日)~24日(水)
2017年8月1日(火)~26日(土) 福岡・博多座
2017年9月2日(土)~15日(金) 大阪・フェスティバルホール
2017年9月25日(月)~10月16日(月) 名古屋・中日劇場
[スタッフ]
作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作:ヴィクトル・ユゴー
作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション制作:キャメロン・マッキントッシュ
演出:ローレンス・コナー、ジェームズ・パウエル
[出演]
ジャン・バルジャン/福井晶一、ヤン・ジュンモ、吉原光夫
ジャベール/川口竜也、吉原光夫、岸祐二
エポニーヌ/昆夏美、唯月ふうか、松原凜子
ファンテーヌ/知念里奈、和音美桜、二宮愛
コゼット/生田絵梨佳、清水彩花、小南満佑子
マリウス/海宝直人、内藤大希、田村良太
テナルディエ/駒田一、橋本じゅん、KENTARO
マダム・テナルディエ/森公美子、鈴木ほのか、谷口ゆうな
アンジョルラス/上原理生、上山竜治、相葉裕樹
ほか
公式ホームページ
〈福井晶一プロフィール〉
北海道出身。舞台芸術学院を経て1995年劇団四季研究所33期生として入所。1996年『ドリーミングSAPPORO』で初舞台。以後『キャッツ』『アイーダ』『ウエストサイド物語』『美女と野獣』『エビータ』『ライオンキング』など、数々のミュージカルに出演し人気を博す。2012年に劇団四季を退団。2013年、『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャンとジャベールの二役を演じる。主な出演作品は、『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル』『ジャージー・ボーイズ』『船に乗れ!』など。
福井晶一オフィシャルサイト

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筆者

米満ゆうこ

米満ゆうこ(よねみつ・ゆうこ) フリーライター

「三度の飯よりアートが好き」で、国内外の舞台を中心に、アートをテーマに取材・執筆。ブロードウェイの観劇歴は20年以上にわたり、ブロードウェイの劇作家トニー・クシュナーや、演出家マイケル・メイヤー、スーザン・ストローマンらを追っかけて、現地で取材をしている。

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