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平間壮一が再びエンジェル役に挑む(上)

ブロードウェイミュージカル『RENT』、2年ぶりの上演

大原薫


拡大『RENT』に出演する平間壮一=宮川舞子撮影

 ミュージカル『RENT』に平間壮一が出演する。

 『RENT』は1996年にニューヨークの小さい劇場で誕生したミュージカル。作者のジョナサン・ラーソンが「今の時代に生きるミュージカルを作りたい」と、イースト・ヴィレッジに生きる若者たちを主人公に描いた作品だ。プレビュー公演初日前日に35歳の若さで急逝したジョナサンの思いがこもった作品は、初演から2カ月後にはブロードウェイの劇場に移り、12年4カ月にわたりロングラン上演された。初演から20年以上たった今も世界中で愛されている作品である。

 平間壮一の『RENT』への出演は2015年に続いて2度目となる。平間が演じるのは、エンジェル。ドラァグクイーンでゲイの青年であり、HIVポジティブの役どころだ。平間は卓抜したダンス力を武器に愛情深いエンジェル像を作り上げて注目を浴びた。その後『ロミオ&ジュリエット』のマーキューシオ役などを演じて経験を重ねてきた今、再びエンジェル役に挑む心境を聞いた。

毎日がいい刺激を受けた稽古でした

拡大『RENT』に出演する平間壮一=宮川舞子撮影
――前回の平間さんのエンジェルは相手役のコリンズに対しても、そして仲間であるマークやロジャーたちに対しても豊かな愛情で接しているのが伝わってきました。オープンマインドなところがとても魅力的なエンジェルでした。

 本当ですか!? ありがとうございます。

――改めて前回公演を振り返ってみるといかがでしたか?

 前回はいっぱいいっぱいでした(笑)。エンジェルは普段自分が感じたことがない感情で演じないといけないから戸惑ったところもあったんです。自分が思ったことを瞬時に行動に移せるようになるまで、時間がかかったかもしれない。でも、(日本版リステージの)アンディ(・セニョールJr)が僕の演じ方を変えてくれたんです。今までは「この役だったらこう考えるよね」と自分を役に寄せていくタイプだったんですが、稽古中にアンディから「自分自身を変えろ。ソウイチが変われば素直にエンジェルもよくなっていくんだよ」と言われました。「平間壮一という人の心を開かないとどうしようもない」と言われて「うわ、そんなところまで見るんだ」と思いましたね。今まで舞台の演出を受けていてもそんなことを言われたことはなかったので、すごくいい経験をしたなと思います。

 実際、『RENT』に出る前は、初対面の人に対してどこかで心を閉ざしていたところがあったかもしれない。でも、『RENT』以降は相手をちゃんと見て、聞いて覚えて、心を開いていられるようになった。自分の中で『RENT』に出演したことは大きかったし、また出演できて嬉しいですね。

拡大『RENT』に出演する平間壮一=宮川舞子撮影

――私は『RENT』の大ファンなんですが、『RENT』のマーク役オリジナルキャストのアンソニー・ラップが書いて、一人ミュージカルとして舞台化もされた自伝『without you』を読んでいたら、「『Seasons of Love』を歌うシーンの最初の稽古で、演出家のマイケル・グライフから“この曲を歌うときは役で歌わないで、自分自身で歌ってくれ”と演出を受けた」と書いてありました。新演出版になった今もその演出は受け継がれているのでしょうか?

 それは多分受け継がれているんだと思います。僕らが『Seasons of Love』の稽古をしたときはこの曲を伴奏にしながら一人ずつ、自分が一番恥ずかしかったことや人に話したくないことを打ち明けたんですよ。「大切な人を亡くした」とか「どういう思いで舞台に立ってる」とか。いろんなことを共有しながら全員が話し終わったら、アンディが「ゆっくり歌い始めて」と言って、皆で『Seasons of Love』を歌ったんです。泣き出しちゃう子もいたし、僕も泣いてしまった。決して上手に歌えたわけじゃなかったけど、歌い終わった後にはその人の見方も変わったりしたかな。本当に毎日毎日、いい刺激がある稽古だったなと思いますね。

◆公演情報◆
ミュージカル『RENT』
2017年7月2日(日)~8月6日(日) 東京・シアタークリエ
2017年8月10日(木) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2017年8月17日(木)~22日(火) 大阪・森ノ宮ピロティホール
2017年8月26日(土)~27日(日) 福岡・福岡市民会館
[スタッフ]
演出:マイケル・グライフ
振付:ラリー・ケイグウィン
[出演]
村井良大、堂珍嘉邦/ユナク(超新星)(Wキャスト)、青野紗穂/ジェニファー(Wキャスト)、光永泰一朗、平間壮一/丘山晴己(Wキャスト)、上木彩矢/紗羅マリー(Wキャスト)、宮本美季、NALAW(CODE-V) ほか
公式ホームページ
〈平間壮一プロフィル〉
北海道出身。2007年に『FROGS』で初舞台を踏み、以降多くの舞台で活躍。主な舞台出演作に、『ロミオ&ジュリエット』、『バイオハザード~ヴォイス・オブ・ガイア~』、『ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~』、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.14『The Love Bugs』、『オーシャンズ11』、『レディ・べス』など。
平間壮一オフィシャルブログ

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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