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全面禁煙にしない飲食店はいずれ潰れる

受動喫煙対策で飲食店が厚労省案に賛同すべき理由

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

完全禁煙していない飲食店完全禁煙していない飲食店はまだまだ多数派だ

 受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正をめぐって、政府と自民党の間の対立が続いています。面積30平米以下のバーやスナックを除いて、原則的に飲食店を屋内全面禁煙とする厚生労働省案に対して、自民党内から「厳し過ぎる」との異論が続出し、お互い修正案を持ち寄ったものの決着はつかず、今国会での成立を危ぶむ声が出てきている状況です。

 一方、世論調査では、国民の64%が厚生労働省案に賛成で、反対の25%を大きく上回りました。私も賛成の立場であることから、以前、エキサイトニュースで、生活者の観点から全面喫煙を厳しく進めていかなければならない理由を論じる記事を出しています。

 とりわけ、受動喫煙によって年間1万5000人もの死亡者が出ていることから、それはマナー違反ではなく、命と健康への暴力であるということは最も訴えたいところです。

 また、その記事では、「分煙」と表記していても、煙が非喫煙者の席にまで届いて、ただの「分席」に過ぎない店や、喫煙者の割合(19.3%)に比べて、完全禁煙していない飲食店の比率があまりに高い(84.95%、「食べログ」の掲載店)こと、職場の飲み会等でのスモークハラスメントへの対策が不十分なこと、喫煙による経済的損失と、たばこ税の税収+生み出された付加価値の差額は約1.5兆円で、非喫煙にも負担を強いていること等を指摘し、いかにアンフェアな状況であるかを解説しました。

禁煙にしなかったから外資に負けた?

 このように論理と世論の支持では完全に厚生労働省案に軍配が上がると思うのですが、自民党側は、「お客が逃げてしまう」「経営が立ち行かなくなる」ということを根拠に、厚生労働省案に反対しています。国民の声ではなく、飲食店業界の利益を代弁しているのでしょう。ですが、受動喫煙対策を緩めることが、果たして本当に飲食店業界の利益になるのでしょうか? 私はこの点についても疑問で仕方ないのです。

 たとえば、

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